ウクライナ・ベラルーシ経済危機 ロシアとの関係は依然悪化

一方で輸入については、主要な輸入品である天然ガスの値上げに
よって、ロシア側に支払う輸入金額が大きな負担となった。
ウクライナは親米路線のユーシェンコ大統領が就任して以来、隣国
の大国ロシアとの対立を深めてしまったことから、政治的な意図で
天然ガスの供給価格を引き揚げられてしまった。


これにより支払い能力がなくなったウクライナは、ロシアに対して
一定の支払い猶予期間を求めたが、支払い再開の目処がたたない
こともあり、09年は厳しい真冬にもかかわらず、ウクライナ向けの
ガス供給をストップさせた。
これにより、ウクライナを経由している一部東欧諸国のガス供給も、
運悪く一時的に停止になったのだ。


その後IMFからの融資一部を使って支払いを終え、ガス供給の再
開は果たされたが、政治的なリスクは依然として残っている。
今でもNATO(北大西洋条約機構)の加盟を希望しているが、米国
オバマ大統領が就任したことで、NATO拡大路線の見直しがはか
られ、現実的に加盟が難しくなってきている。


また旧ソビエトベラルーシ経済もウクライナ同様、悪化の一途。
ウクライナアイスランドと同じ時期に、IMFから20億ドルの緊急
支援を仰いだ。


ベラルーシはルカシェンコ大統領の独裁政治ということもあり、
欧州の先進国から融資を断られ続けた。
大統領の3選禁止規定も、同大統領が削除してしまったのだ。
同大統領個人の趣味であるアイスホッケー場を国内に多数建設
させたりしたが、食料品や日常生活用品の価格に税金をかけず、
逆に国の補助金を使って安く抑えてきたという放漫経営を行っていた。
こういったこともあって、個人々々の生活負担は決して重くなく、
国民は大統領に対し、今まで一定の支持を与えてきたのだ。


しかし経済は最悪を迎え、金融危機後に支援を約束していたロシア
が一方的に取りやめ、これがルカシェンコ大統領を立腹させた。
ロシアはその代わりにロシア・ルーブルでの融資を申し出たという
が、同大統領はルーブル通貨自体や政治的なリスクを考えて、キッ
パリ断ったという。


また同国通貨はベラルーシ・ルーブルであり、ロシアの経済危機
によって、ベラルーシの通貨も一蓮托生で大きく下落した。
ベラルーシにとって為替市場も大きなジレンマだっただろう。
しかし今のウクライナと違い、ロシアとの関係は概ね良好である。
一方で米国との関係は良くなく、国交は断絶したままである。


貿易でみれば、ロシアとの取引が全体の65%を占めている。
主な輸出品は石油製品、自動車、機械類。
日本との貿易では、主に乳製品を輸出している。
昨今は金融危機の影響で、外貨準備を崩して輸入代金の一部を
充てている状態だ。



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