アイルランド経済 欧州で最も早い不動産バブル崩壊 悪夢は続く(2)

アイルランドの住宅価格の下落は、時期的にイギリスより早かった。
早くも07年2月から下降線になってしまったのだ。
この時期は米国のサブプライム・ローン問題が世界的に大きく報じ
られた07年8月よりも、なんと半年も前なのだ。
ちなみに最も遅く不動産危機が発覚したのがスペインで、08年9
月に起こったリーマンショック後も、しばらくの間は崩壊が起こらな
かった。


アイルランドは08年10月時点で、ピークに比べ15%も住宅価格
が下落。
不動産ブームが起こって、住宅価格が2倍以上も上昇したというこ
とを考えると不動産市場の低迷はもう少し続くと思われる。


またスペインなどと同様に、アイルランド景気が悪化したことを受
け、東欧諸国から移民として流入してきた外国人労働者が大挙して
帰国してしまった。
不景気の中での外国人の流出は当然の流れだが、これによって賃
貸アパートの空室が目立ち、マネーの流出以外による実体経済
落ち込みも響いたという状況だ。


首都ダブリンを中心に金融ビジネスの拡大にも取り組んできた。
しかし、他にこれといった産業がもともとない国での急激な不動産
バブルは、後々の始末として欧米や日本以上に始末が悪い。
かなりの時間がかかるだろう。
とにかく東欧諸国と比べてまだよかった点は、通貨ユーロを導入し
ている点が幸いしただけだ。


アイルランドは08年、09年と2年連続でマイナス成長を記録。
経済成長率がマイナスに陥るのは、83年のマイナス0.7%以来
だという。
今年も同じ仲間のギリシャポルトガル、スペインの危機が深刻化
することから、しばらくの間は経済の傷みだけでなく、心の痛みも
伴なうことになりそうだ。



 ★シティアライアンス 代表兼 「ヒルザー・ドットコム」 運営者