ロシア経済情勢・危機 ガスと石油が特徴 今後の見通しは崩壊へ(2)
資源産業だけではなく、金融面においても欧州地域が危機的状況に
なると、ロシアにもその悪影響は甚大になる。
ロシアは日本と同様に、リスクの高いサブプライム証券に投資して
こなかったので、融資の焦げ付き問題とは一見無縁に思えてしまう
が、間接的な影響については逃れられなかった。
ロシアの金融機関の多くは、欧州先進国の金融機関からユーロ建て
で資金を調達し、高い金利で企業や個人に貸し出すというビジネス
モデルを採用していた。
うまく海外から資金調達できた理由は、政策金利が10%を超えて
いたこともあり、貸し出し国内で資金調達をするより、海外で資金
調達するほうがコスト上、有利に働いたからだ。
しかしロシアや新興国で活発に動いていたこのビジネスモデルは、
リーマンショック後、欧州地域で信用収縮が発生すると、銀行間の
金利が上昇して、海外からの資金調達が困難になるという問題が出
てくるのだ。 これは返済負担が重くのしかかることになる。
対外債務残高を見ても、08年3月には1714億ドルに上ってし
まい、1年余りで約5割も増加している。
ただロシアでは、中国が安価な輸出品で莫大な富を稼いできたこと
と同様に、資源輸出の拡大によって、ここ数年外貨準備高が潤沢に
なってきた。
また石油輸出代金の一部を政府が積立ててきている基金にも、多く
の資金がプールされているので、イザとなったら発動できる余地が
大きく、98年に味わった通貨危機までは起こらないだろう。
米国債の保有も2月時点で1200億ドルもある。
しかし問題はこれからだ。
欧米諸国の景気急減速は今年中に再度訪れる。
9月には第2のリーマンショックがやってくる。
せっかく上向いてきた原油価格が再び急降下する可能性が高い。
天然ガスは環境にもよいことから、今後も需要は拡大していくだろ
うが、世界的なトレンドは “脱石油” である。
日本やドイツのようなモノ作り国にはほど遠いし、政治的な意味で
も日本や欧米からの投資は、なかなか上向くことはない。
ロシア国民は比較的親日で、日本の若者文化が毎年拡大している。
日本食も根付き始めていることから、日本の政府はこういった文化
を汚すことなく、うまく解決していって欲しいものだ。
★シティアライアンス 代表兼 「ヒルザー・ドットコム」 運営者