ハンガリー経済危機・財政赤字 舞曲から幻想曲、狂詩曲への序曲か?

4月25日、8年ぶりに政権交代したハンガリーのオルバン新政権
は6月4日、同国の財政赤字が今後大幅に拡大する可能性が高い
ことを明らかにし、“ 我が国は次のギリシャになる ” と発言。
世界で一瞬衝撃が走った。
さらに報道官も、“ 我が国の財政は絶望的な状況にある。前政権
が統計を粉飾し、我が国の置かれている状況に関して嘘をついた ”
と語ったのだ。


この新政権は社会党のショヨム前政権が 「粉飾」 していたとの見方
を示しており、ユーロ圏で政権交代に伴う赤字隠しの発覚が引き金
となった、ギリシャ経済危機の二の舞いとなるのではないか、とい
った懸念が強まってしまったのだ。
これを受けて4日のNY外国為替市場では、ユーロが対円・対ドル
ともに下落し、他の主要通貨に対しても独歩安となった。
60%以上をユーロ建てで融資を受けてきたハンガリーとあって、
今後も返済の焦げ付きがますます深まったといえる。


前政権のショーヨム前大統領は去年12月に来日。
経済協力を求め、当時の鳩山前首相と首脳会談を行った。


ハンガリーも他の東欧諸国同様、世界的金融危機をいち早く被って
しまった。
2006年には4.0%の成長を達成したが、07年には早くも大き
く下落し、1.2%まで下がった。
08年には0.6%で、11月にはIMFから125億ユーロの緊急
融資を受け、同時にEUからも65億ユーロ、世界銀行から10億ユ
ーロの融資を受けることになった。

そして09年にはマイナス6.7%という屈辱的な成長率を味わった。


失業率も悪化しており、去年7月から10%の大台を超えている。
今年4月の失業率は10.4%という依然高い失業率が続いている
が、前月3月と比較すれば0.4pt改善した。
しかしこれは数字のマジックに過ぎない。
失業給付金の対象者が少なくなっただけで、雇用が増えたというわ
けではない。言いかえればホームレスが増加したということだ。


ハンガリーは通貨フォリントを防衛するためにも、政策金利を高目
(5.25%)に設定されており、現在EUの中で最も景気が悪化して
いる国になっている。
しかしこれでも通貨フォリントは以前よりずっと安くなっているので、
同国の輸出を少しばかり促進させていることは間違いない。
とにかくギリシャ同様、他国への飛び火を懸念している。



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