スペイン財政危機から経済破綻へ 6、7月は莫大な融資返済が集中

ギリシャからハンガリーといった東欧諸国への経済危機波及で、一時
的に欧州諸国が動揺した後、6月の半ばに入るとすぐさま恐怖心を取
り戻してしまった。


小国の経済・財政危機に対しては、国民の血税をユーロ圏といえども、
他国の救済に充当しねければいけないもどかしさは、我々日本人には
ピンとこないかもしれない。


今月16日はスペインにとって不幸な日だったに違いない。
これはサッカーのワールドカップのことを言っているのではない。
同国の債券市場が再び危機に襲われたのだ。
スペインソブリン債ドイツ国債に対する金利の上乗せ幅が、再び最
高値を更新した。
最近では私のブログも、自ずとスペインの話題が増えてしまった。


先日のブログでも投稿したが、スペイン中央銀行は、国内にある銀行
のストレステスト結果を公表することにしている。
これは中長期的に見れば、銀行の信頼を取り戻すことであるから良い
ことだろう。
もちろんきちんとした第三者機関を通して行われなければならない。


しかし短期的には、その結果によって数百億ユーロの追加資金を貯蓄
銀行に注入する必要が生まれてくる。
当然のこと、その財源を政府が負担せざるを得ないことになるため、
スペインへの資金調達圧力が一層高まることになるのだ。
ECBによる同国の国債買い増しに拍車がかかってしまうからだ。


そして今回、さらに危機的な状況が公表された。
スペインの貯蓄銀行がECBから受けていた融資、4420億
ユーロの返済期限がナント今月末に迫っているという。

これがもし返済できなければ、1年以内の短期融資に切り替えねば
ならない。
すでに同国の銀行は2012年末までに、約8000億ユーロを市場
で借り換える必要がある。

そして何度も言うようだが、来月7月には162億ユーロの国債償還
日がやって来る。


現在スペイン政府は、EUからの緊急支援が必要になるとの不安を
懸命に払拭するのに躍起となっている。
欧州だけでなく、米国などの機関投資が傷んでいる中、これだけの
金額を将来市場から調達できる可能性はほとんどないといっていい。
一体どうするつもりか?



 ★シティアライアンス 代表兼 「ヒルザー・ドットコム」 運営者