ドイツ・フランス財政危機 PIIGSに100兆円もの融資残高

来月には、欧州の銀行のストレステスト結果が公表されることになり、
フランス・ドイツ両国の銀行が、PIIGS向けに持つ債権について
大きな不安と恐怖が高まっている。
今回ギリシャに端を発する金融危機が、このEUの2大経済国に波及
する可能性があると警告しているのだ。


これはPIIGS諸国のいずれかの国が万一デフォルトに陥った場合、
仏独の銀行が深刻な損失を被ることを意味する。
大半の投資家が1〜2年以内にギリシャのデフォルトを予測しており、
これが他の債権国でも危険が高まるということだ。


新たな信用収縮リスクが現実化してしまう。
欧州の銀行がギリシャ向けに保有する債権は2720億ドルだが、
スペイン向けは、その3倍の8510億ドル。
アイルランド向けは、6060億ドルに達している。
 

つまりこれらの国のいずれかにギリシャと同じような危機が訪れると、
欧州全体の金融システムに再び大きな影響が及ぶことになるからだ。


おわかりだろう。その破壊力はギリシャの比ではない。
スペイン向けの債権だけで、ユーロ安定化基金の7500億ユーロと
ほぼ同額なのだ。
ECBの資産は、日本の日銀や米国FRBの資産額より大きい。
それでも連鎖的な危機が何度も起これば、財政は底をついてしまい、
新たなジャンク国債を買う体力はなくなってしまう。


ECBのトルシェ総裁は、あるどこかの国がユーロを離脱させること
は絶対にさせない. . . と強気でいるが、それはまだ今だから言える
ことなのだ。
来年になれば、危機を拡大させる国は離脱して欲しい. . . といった
発言があるかもしれない。


独仏の両国銀行は09年末時点で、イタリアを除くPIGS諸国に、
総額9580億ドルの投融資残高があると公表している。

すでにフランスは巨額の財政赤字を抱えていて、弱体化した金融機関
を援助する力が少ない。
失業率も10%を超えており、これは米国と同じ指標だ。
フランスはもともと失業率が高い国だ。来年にはギリシャ同様、全国
的なストライクが勃発するだろう。



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