ドイツ経済・財政破綻危機 「バッドバンク」 は、ユーロの破滅へ

ドイツ政府は去年4月、国内の主な金融機関から不良資産を買い取る
「バッドバンク」 の設立を検討し、翌月に承認され設立された。
この頃は米国発の金融危機が最も強まっていた時期だ。


「バッドバンク」 という言葉は、“ 不良資産の受け皿機構 ” または、
“ 不良資産買取機構 ” などと日常的に用いられているが、その定義
については必ずしも明確になっていない。
多数の金融機関の資産を買取るものから、個別銀行の事業再編のため
のものまで、その形態は多岐に分かれている。


ところがどっこい。これまでにこの制度を利用したドイツの銀行は皆無に
等しいというのだ。
ドイツ政府は銀行業界に新規資本の受け入れを強要する立場にない。
あくまで経営者に判断を委ねているのが状況だ。


ドイツのバッドバンクによる買い取り対象機関は、主に商業銀行であ
るが、これはスイスやアイルランドと比べると幅広く、特定の銀行や数
の制限といったものはない。
流動性を失った証券化商品など2000億ユーロ相当まで買い取ると
いうのだが、これも莫大な総額だ。
ちなみにスイスの場合はUBSが対象で600億ドル。
アイルランドの場合は900億ユーロだ。
いかにドイツの不良資産が大きいか想像がつく。


ドイツには地域金融機関のなかにも超多額のリスク資産を抱えている
銀行がある。その銀行とはエスドイチェランデスバンクだ。
うわさによれば、1000億ユーロを超える不良債権を抱えている。
まさに地球上で、最大の金融有毒廃棄物集積場になっているハズ。
こういった銀行もストレステストの対象になるのだが、果たしてこの
銀行がスンナリと受け入れるかどうかは定かではない。
経営者だけでなく、ドイツ政府も躊躇せざるを得ないだろう。


これまでにドイツで噂された情報としては、銀行監督局が1年前に
試算したケースのシナリオで、ドイツ国内の銀行損失総額が天文学
的な数字にまで達しているという。 その額ナント8000億ユーロ!!
これはドイツGDPの約3割に上るというものだった。
これはあくまで去年の数字である。今その数字が一体どれほどの大き
さになっているのか計り知れない。
ドイツだけでなくユーロ圏やEU全体としても、数年以内に恐ろしい
未来が待っている。



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