米国(アメリカ)住宅ローン地獄 延滞率は減少、差し押さえは増加へ

米国商務省が発表した5月の新築一戸建て住宅販売件数は、前月比
で42.7%減の年率30万戸と発表された。
統計を開始した1963年以来の最低水準となり、減少率も過去最大
を記録した。


住宅販売件数の減少は、同国政府による住宅購入の減税措置が4月末
で終了した影響が大きいとみられる。
今回の発表は事前予測を大きく下回る結果となり、米国内の景気の先
行き不透明感が一層増していると思われる。
当ブログでは、あえて具体的な数字は出さない。


2か月程前、欧州の格付け機関であるフィッチは以下のような記事を
掲載していた。
3月のサブプライムローンの延滞率は、約4年ぶりに低下したが、
その一方でプライムローンの延滞率は加速しており、ジャンボローン
については10%を上回った。
米失業率が10%水準に高止まりするなかで、政府の住宅差し押さえ
抑制策により、債務不履行よりも支払い延滞が増えており、深刻な
ローン延滞は依然として高水準にとどまった. . . というものだ。
この時期としては、ありのままの現実を赤裸々に表現している。


しかしこの記事は何かをはぐらかす内容がみられる。
ローンの延滞率は4年ぶりに低下したが、依然高水準だ. . . という
表現である。
読者には何となく、米国経済が底を打ったという気持ちになるかも知
れないが、よく考えればどんどん悪化しているという捉え方にもなる。
ハッキリいって誤魔化しに過ぎない。
少なくとも私にはそう思える。


簡単にいえば、差し押さえが増えていることで、延滞率が減少
しているということに過ぎない。
差し押さえによって住宅ローン件数という分母が減っているの
だから、延滞率という分子も減っているのである。
 

ただそれだけのことだ。 回復なんて全然していない。


とにかく住宅ローンの焦げ付きはすでに、ジャンボや、オルトA、そして
高所得者層向けのプライムまで波及している。
法人向け商業用不動産ローンは、すでに取引が事実上停止にまで至
っているのだから、米国不動産市場は欧州を追っているという現状だ。
個人の金利負担はどんどん高くなり、2011年の秋に天井になる。
これまでの金利が一気に3倍、4倍まで高くなるのだ。
当然のこと、これほどまでの金利負担に耐えられる消費者はいない。
米国の国家的大惨事は2年後にやってくる。



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