スペイン経済・財政破綻問題 ECBからの借り入れが突然急増

サッカーのワールドカップが終わった。
延長の後半、オランダを相手に見事1対0で優勝したスペインは、
選手の帰国後、マドリード市内で凱旋パレードを行った。
沿道には100万人ともいえる国民が集まったという。


スペインのW杯初優勝で、政府や国民全体からこれを起爆剤に、
景気回復を願っている雰囲気が盛り上がっている。
戦後最悪ともいえる不動産バブル崩壊、そして20%もの失業率
は、欧州の中ではラトビアに次ぐ高いものだ。
最近はギリシャ問題から、スペインの財政規模が少しずつ明るみ
になり、今月23日にはストレステストの結果も公表される。


スペイン経済の正念場はいよいよ近ずきつつある。
そんな中、予想通りの悪いニュースがこのたび明らかにされた。
同国中央銀行のデータによると、国内の銀行が6月にECBから借
り入れた額は、前月の5月から急増したというものだ。
スペイン金融機関の資金調達がかなり困難だったことが示された。


6月にECBから借入れた額は約1365億ユーロに上り、これは
5月の1056億ユーロから急増している。

実際ECBからの借り入れが急増したのは、この5月。
ちょうど7500億ユーロの安定基金が決まった頃だ。
銀行間市場が凍りつき、国内の銀行がECBの融資を頼ったことが
背景にある。
同国銀行の1─4月の借り入れは合計で900億ユーロ程度だった。
いかに単月での借入れが急拡大したかがわかる。


スペインの国内事情はますます混迷を深めるだろう。
W杯の優勝は、ほんのひと時の慰めや癒しに過ぎない。
実際のところ、サッカー選手は国内外の移籍によって豊かな生活を
送れると思うが、一方で沿道で歓喜に沸いた市民はこれから最悪な
事態に陥ることになるのだ。


消費税といった付加価値税のアップで、企業や従業員の首を絞め、
公務員の給料や人員削減、そして年金に至ってもメスが入る。
さらに悪循環が続き、暴動やストといった類など、ギリシャの二の
舞がこれから頻発するだろう。



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