米国(アメリカ)不動産バブル崩壊 失業率も就職率も最低レベルに

米国発の金融危機は世界経済を凍りつかせた。
もうまもなく2年が経とうとしている。
08年秋に始まった大不況で、米国の労働人口を構成する成人の
半数以上が、解雇通告、給料・報酬カット、労働時間の短縮、さらに
雇用形態の方針転換といった困難を経験したというものだ。


さらに自己資産についても、当時まで膨張していた住宅価格と株式
市場のバブルが崩壊したことで、平均世帯の20%が目減りした。
これは第2次世界大戦後以降で最大の落ち込みだという。


たしかに米国人の多くの人が “借金をして消費をする” という暮らし
を大幅に転換させている。
この不況下で家計支出は減少し、貯蓄率は上昇、住宅債務も減少
しているのは事実だ。
しかし、永遠に不動産価格が高騰するという神話を信じてきたツケ
は、そう簡単に収まらない。


住宅の差し押さえは依然として高水準。差し押さえを食らった家族
は、安いアパートや両親といった身内に居候するという現状が続い
ているからだ。
米国の失業率は去年の10月、最大10.1%にも達していたが、
先月6月には9.5%まで下がった。
しかしこれで実体経済が改善されたわけではない。
むしろどんどん悪化している。


米国の失業給付金は半年から1年間が大半だが、この期間を過ぎ
て仕事に有りつけない場合でも給付はストップする。
こうなると 「失業者」 という定義から外れてしまい、収入元が完全
になくなるので、結果的にホームレス状態になるわけだ。
米国は現在、こういった状況が広がっている。


とくに若者の雇用は深刻の度を極める。
07年には大学を卒業した人の就職率は50%を超えていたが、
09年の就職率はわずか19%にまで下がっている。

これは言うまでもなく米国発の金融危機が直撃したということだが、
理由として大きなポイントが2つある。


1つ目は労働者の転職率が下がり、ひとつの企業に長く居座る人が
多くなったことだ。
米国では企業に勤める社会人は、平均11回も転職するというもの
だったが、今回の不況を機にこういった現象がなくなっていくものと
思われる。
転職に慎重になる人が増加しているのである。


2つ目は以前のブログにも掲載したが、学生向け教育ローン最大手
「サリーメイ」 が景気後退や政府政策の影響を受け、事業の縮小に
踏み切ってしまったことだ。
これにより奨学金が大幅に削られた一方、就職しても賃金の安さか
ら、返済できなくなる若者が増えていった。
こういった悪循環から融資もどんどん減っていったり、審査も厳格に
なったしまったのだ。


今まで 「アメリカンドリーム」という言葉をよくきいた。
しかしとんでもない勘違いをしている人がまだまだ多い。
これは米国人特有の考え方に基づく概念に過ぎず、物質的ではなく、
精神的な満足感や虚栄心によって測るべきだと考える人々のことだ。
趣味、浪費、パーティー、ボランティア活動、家族や友人との時間
を楽しむような広範囲的な願望である。
つまり 「仕事」 は大事だが、あくまで二の次なのである。


アメリカンドリームとは別の方向から考えると、日本のような終身雇
用や年功序列といったものかもしれない。
ひと昔前、自動車産業や家電産業が輝いていた頃と一致する。
勤務時間が終われば、従業員たちは思うままに自分たちの時間を
誰からも干渉されず楽しんでいくという過ごし方だ。
仕事が一番で、一生懸命働くことが生きがいだと思う会社人間とは
全く正反対のことなのだ。
毎日生活の糧を得、経済的な基盤を徐々に築き上げる。
ある意味でこれが 「ジャパニーズドリーム」 なのかもしれない。



 ★シティアライアンス 代表兼 「ヒルザー・ドットコム」 運営者