米国債 5月は日本と中国が若干売却 米銀の破綻も90%増と拡大

財務省が発表した5月末の国別米国債保有残高によれば、中国
が8667億ドルとなり、前月に比べて325億ドルも減少した。
減少は3カ月ぶり。
ちょうどこの頃、ギリシャ発の金融危機が欧州諸国に拡大した時で、
このことから中国が外貨準備の分散化を進めた可能性がある。


日本は前月比88億ドル減の7867億ドルで、依然中国に続く2位
だった。
驚いたのは3位の英国で3500億ドル。ナント前月比288億ドルも
増やしたのだ。
英国の意図は一体全体何なのだろうか?
この国に外貨準備を増やす余裕なんてあり得ない。


金融危機後に98%も株価が下落したRBSや、その他の大手銀行
は、莫大な不良債権を抱えており、目を覆うばかりの悲惨な状態だ。
英国政府も公的資金を次から次へと資本注入し、銀行もリストラを
加速させている。
トリプルAである国債の入札も今年に入って札割れが続いている。
国の対外債務も非常に多く、米国に次いで巨額なのだ。
反対に最大の対外債権国が日本である。


さらに他国をみると、保有額6位のロシアが130億ドル余り増加。
反対に4位のブラジル、5位の香港が若干減らした。
その他の主要国ではフランスやインド、オランダ、オーストラリアも
減らした。
興味深いのは5月も引き続き、海外による330億ドルの買い越しと
なったが、前月の1103億ドルからは大きく縮小したことだ。

やはり米国債バブル崩壊はもうじきやって来る。


米銀の破綻も悲惨な状況だ。
今年に入ってすでに96行も閉鎖された。
この数は去年1年間の同時期と比べれば、1.9倍も増えている。
これらの銀行の多くは日本でいうと、信用金庫や信用組合といった
小さなもので、サブプライムといった経済力の乏しい人には貸し付け
ていない。
しかし金融危機後は低所得者層と同じく、今では富裕層に貸してい
る多額の融資が焦げ付き、商業不動産向けも回収の目処が立って
いないという状態だ。


最近は米金融機関の回復が取り沙汰されているが、実体経済のほ
うは日々悪化している。
回復の理由はひとえに、人員削減や不採算部門のリストラである。
こういったことから株価が上昇しているだけで、決して本業の利益が
上がっているわけではない。 ここが大問題なのである。
今年の9月には何らかの恐慌が起こるだろう。
それが欧州発なのか米国発なのかは現時点ではわからない。



 ★シティアライアンス 代表兼 「ヒルザー・ドットコム」 運営者