欧米の不動産・債権バブル崩壊で、円高ドル安・ユーロ安は続く

金融危機後のユーロ圏ソブリンリスクは、これまでになく大きな
問題に発展しつつある。
ギリシャポルトガルアイルランドといった小国ならまだしも、
スペインがデフォルト(国家破綻)を起こすようなことが起きれば、
それはリーマンショックに匹敵するくらいのインパクトがあるかも
しれない。


しかし5月中旬に決定したユーロ安定化基金によって、とりあえず
突然爆発に陥るようなリスクは排除されているので、一応大丈夫
だと思われる。
ただし穿った考え方をすれば、突然死はなくなったとしても、癌とい
ったように、ジワジワと蝕み続けていくのは避けられない。
リーマンブラザーズの場合は、米国政府から一気に処刑され、
少なくともその後の債務が増え続けるといった問題は消滅した。
つまり今の欧州諸国が直面しているのは、あくまでも問題の先送
りに過ぎないというものだ。


欧米や日本といった先進国経済が、停滞もしくは縮小するとなると、
いくら新興国が発展を続けても、こういった国々が輸出に大きく依
存している現段階では、決してバラ色になるとは思えない。
世界経済の中心が今までの米国を中心とした先進国から、中国な
どの新興国に移る可能性があるだろうか?
問題の多い中国では、まずありえない。
それ以前に発展途上国であることを忘れてはいけないのだ。
中国の温家宝首相は5月の来日時に、
“ 中国の先進国入りは、もう100年はかかる ” と発言した。


今後欧米の金融破綻で、リスク回避をしようと思うときには、金や
レアメタルの相場が一層高くなるということが考えられる。
実際今がそうなっている。
しかし世界経済がリーマンショックドバイショック、そして最近
起きたギリシャショック以上のものが起きれば、こういった資源価
格も急落してしまうのだ。


いうまでもない。レアメタルといった鉱山資源は、世界経済が一気
に低迷すれば、新興国だって需要が下落する。
タイムマシンで縄文時代弥生時代に戻れば需要は高まるだろう
が、今の時代、誰もが日常的に物々交換なんてできるモノではない。
つまり国の通貨である安全資産 「円」 が買われるのである。


欧米諸国のバランスシートは酷く傷ついており、しばらくは借金を
返すためだけに働くような可能性が極めて高い。
欧州のストレステストは、ドイツのヒポ・リアルエステート以外は
問題ないと結論されているようだが、誰も素直に受け止める人はい
ないだろう。
何度も言うが、去年5月に実施された米国19行の銀行ストレステ
ストについても、インチキ極まりないものだったのだ。

第3者機関を一切入れず、自社のみで査定して発表したからだ。
はっきりいってシティグループなぞ、2年以内に破綻するだろう。


とにかく現在の円相場の水準(1ドル87円台)は、長期的に見れば、
まだまだ割高とはいえない。
今年中には、あっさり70円台に突入すると考えられる。
1995年末の1ドル79円なんて、ひとつの通過点程度になるだけ
だろう。
日本の民間企業が米国債を山ほど買っているように、今後は円高
を武器にして、資源や競争力のある企業の買収を真剣に検討して
いく時期に来たといえるかもしれない。



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