台湾経済 中国市場をにらみ日本企業と連携へ。問題点解消となるか?

日本との強い関係と絆で発展してきた台湾経済は、日本経済と互換
性のある面が多い。
台湾には中小企業が多い点が日本と似ている。
政府主導の産業政策や、財閥主体で中小企業が育たない韓国との
違いなどが強調されている。


ここ数年、台湾メーカーの 「エイサー」 は、ノートパソコンにおいては
世界首位を堅持している。
最近まで首位だったデルコンピュータや東芝を引き離しているのだ。
また自転車工業についても目を見張るものがある。
80年代半ばまでは、日本が自転車生産において大きなシェアを占め
ていたが、現在では台湾ブランドの 「ジャイアント」 が、世界最大の
自転車メーカーになった。
ツール・ド・フランスや、ジロ・デ・イタリア等に参加する欧州の名門
チームも幅広く利用されている。


ちょっと前の話になるが、97年末タイを発端としたアジア通貨危機
にも、台湾は大きな危機を受けなかった。
ASEAN諸国や、ほとんどのアジアNIESが、大幅なマイナス成長
に苦しんだのだが、台湾やインド、ベトナムはあまり影響を受けなか
ったのだ。
現在も世界有数の外貨準備高(3480億ドル)を誇り、イザとなって
も十分な抵抗力を保っている。


しかし、やはりというか台湾にも大きな構造的問題を抱えている。
国内市場が小さく、輸出に大きく依存していることだ。
これだけならドイツなどと同じで良いのだが、主要な産業を構成してい
く機械部品や工作機械については韓国同様、日本から大きな技術を
取り入れている。


金融危機とはいえ、09年の韓国の対日赤字は280億ドル。
一方台湾も220億ドルの対日赤字を抱えている。 
いかに日本の技術に依存しているかがわかるだろう。
そして世界最大にのし上がった自転車メーカーについても、構成され
ている部品などは、世界最大のパーツメーカーである日本の「シマノ
から部品を輸入している。 しかもほとんどが海外向けだ。
もちろん自転車だけではない。パソコンといった端末についても日本
をはじめとした海外の技術に支えられている。


最近は中国に対し、積極的な経済関係を構築しようとしている。
台湾内閣は先日、中国との経済協力枠組み協定による中台自由貿
易圏形成のメリットを生かすため、日本と台湾の企業協力により
中国市場の開拓を進めるため、投資を進めることを発表した。
馬英九総統は、世界有力企業の投資を呼び込む戦略を表明しており、
我が日本がその手始めになる。


こういった面でも日本との協力が欠かせない。
中国は2008年末に内需振興のため、“ 家電下郷 ” といった、
地方の農村部に家電を普及させる政策を打ち出した。
共産党政府は4年間で日本円にして13兆円に達するだろうと言って
いた。
しかし現実的には目標の14%程度しか達成していないし、参加した
台湾企業のメーカーが売れたのは、日本円にして1000万円程度。
予想の3000分の1にも満たないものだったという。
こういった悪夢を再現させないために、日本企業との連携が欠かせな
いのだ。
台湾の輸出先相手1位は中国だ。 経済関係は無視できない。


今年5月には法人税をそれまでの20%から17%に引き下げた。
韓国と同じく国内市場が小さい台湾は、これからも積極的な投資を呼
び込む必要がある。
これが台湾にとって生き残るための最良で唯一の方法なのだ。



 ★シティアライアンス 代表兼 「ヒルザー・ドットコム」 運営者