欧州ストレステスト 国債償還の危険性を含めると24行が不合格

米国の金融持ち株会社シティグループは、先日行われた欧州銀行
のストレステストで、償還まで保有する債券に関するソブリンリスク
が審査の対象に含まれていれば、24行が不合格となり150億ユ
ーロの追加資本が必要になると試算した。


EU当局はユーロ圏91銀行を対象にストレステストを一斉に実施し、
その結果7行が不合格、35億ユーロの資本不足だと結論付けた。
今回のEUの審査は、大手銀行が売買する債券のみを査定の対象
とし、銀行が保有するソブリン債リスクについては、大半が除外され
ていたのだ。


欧州のストレステストについては、米国以上の審査基準の甘さが、
実施前から指摘されていた。 これで大きな甘さが露呈した形だ。
今回のシティによる発表はある意味で画期的な判断だといえるが、
当のシティグループ自身についても、ずっと以前から債務を隠して
きたのは既成事実。

なんと簿外隠しが、第7帳簿・・第8帳簿ともいわれているのだ。 
金融危機後の不良債権の増加で、去年3月に米国政府が37%も
の株式を保有したが、こういった政府保有は今後少しずつ増えて
いくものと思われる。
来年か再来年後にはリーマンのように破綻するだろう。


少々話がズレてしまったが、ここへきてドイツ銀行が、国債保有
況の詳細を公表した。
ギリシャ国債に対するエクスポージャーが11億ユーロ、イタリア
国債に対するエクスポージャーは81億ユーロ、スペイン国債に対
するエクスポージャーは10億ユーロと、これまで公表されていた
水準の2倍以上となったという。
エクスポージャーとは、将来の為替変動で金融資産の価格変動リス
クに晒されている資産の割合をいう。
当初の2倍というのは、とんでもないほどの見通しの甘さだといえ
るだろう。


ユーロは8月いっぱいまでは、今の(1ユーロ=110円)程度の相
場が続くだろう。
しかし9月になると、リーマンショックと同程度の破綻話が起きる
可能性が高く、一気にユーロやドルが市場で売られる羽目になる。
しかし突発的に起こるような事態は回避されるものと思われる。
具体的には、政府の国有化や合併、はたまた多くの中小銀行の
破綻がますます現実化しそうだ。



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