韓国経済・通貨危機の再来 景況感指数が最高水準も、今秋は危機へ

韓国中央銀行が発表した8月の製造業景況感指数は109と、7月
の108から一段上昇し、03年2月の統計開始以来、最高の水準
となった。


韓国の輸出は、ウォン安とBRICs諸国といった需要の底堅さから
で堅調に推移しているが、中・長期的には米国や欧州、そして中国
などの主要国経済の影響を受けるもとの見方が大半だ。
いまさらいうまでもないが、日本市場は韓国ブランドに対して魅力
を持たないので、世界第2位の市場はほとんど無いといっていい。
中国と米国への輸出額で32%をも占めている。


もともと韓国は、日本から素材や中間材料を輸入し、それを加工し
て海外に出荷する加工貿易立国である。
日本市場において、韓国製品の信頼性とブランド力が日本製の物
に比べて劣るという認識が根強いため、韓国製品の日本輸出が難
しいという問題がある。


また本来は資本収支・経常収支のどちらかが黒字で、どちらかが赤
字であるのが普通であるが、韓国の場合、08年に資本収支・経常
収支共に赤字に陥っているのだ。
貿易黒字分のナント3分の2は日本に流れる仕組みが続いている。
内訳は部品価格やライセンス使用料といったものだ。

これは97年のアジア通貨危機以来依然として変っていない。
独自の技術開発を行おうとする努力をせず、日本の中小企業などか
ら部品、大企業から技術援助を受けているのに過ぎない。
抜本的な経済改革が全くもって行われていないのだ。


半導体売上高ランキングで、インテルに次ぐ世界的な総合家電・電
子部品メーカーのサムスン電子やLG電子に至っても、それを製造
していく工作機械は全部日本のメーカーだ。
そしてライセンス使用料も日本側に支払っている。
こういった2大メーカーも、所詮は最終組み立て工場に過ぎない。
韓国経済が発展しても、なかなか庶民生活が豊かにならないのは、
まさにこのためである。
韓国製品が世界で売れれば売れるほど、日本が儲かる方程式が出
来上がっているのである。


もうひとつの方程式も存在する。
日本から巨額の部品調達が欠かせないため、韓国通貨のウォンが
安くなっても、利益率は変わらないか、もしくは減益になってしまう
という構造だ。 あくまで増えるのは売上高だけである。
日本側の強みはこういった要素が大きい。
以前のブログでも書いたが、最終消費財はどんどん安くしていっても、
それを構成する中身の部品価格は下がることはないからである。

韓国お得意の携帯電話については、国産率0%である。 


韓国経済は今年の秋に再度の正念場を迎える。
唯一日本に勝る価格競争力でも、欧州向けの輸出は減少に向かっ
ている。
中国向けは今でも好調だが、今度は米国向けの輸出に陰りが表れ
るだろう。
米国経済の2番底が間もなく訪れると、通貨はウォン安に転じる。
そうなれば日本からの調達価格が今より重くのし上がる。
よってますます韓国側の手取りが少なくなる。


韓国のGDPは去年、メキシコやオーストラリアにも抜かれた。
2、3年以内にはオランダやトルコにも追いつかれるだろう。
深刻な構造を打破しようとする取り組みや危機感が一向にない。



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