スロバキア 失業率が15%に チェコとの格差は広がり続けるか?

スロバキア経済が深刻化している。
欧州諸国の中でもかなりの小国であるが、09年1月1日に晴れて
ユーロ通貨導入に成功した。


1993年1月1日にチェコスロバキアから独立し、現在に至っている
のだが、工業国の隣国チェコに比べて、スロバキアは昔から主要な
産業が農業だったこともあり、なかなか欧米や日本などから投資が
流れて来なかった。
しかし最近はフランスや韓国の自動車メーカーが、工場を設立して
いる。


現在スロバキア経済は非常に厳しい状態が続いている。
失業率の悪化がなかなか止まらないのだ。
PIIGSといわれる国々の失業率が、ここにきてやや頭打ちしてい
るにも関わらず、スロバキアは今でも毎月ポイントが増加している。
去年7月は12.2%だったのが、今年の6月は15%に達した。
隣国チェコが7.4%であるから、この両国の経済格差は激しい。


失業率は各国によって経済規模といった要素が異なるため、数字だ
けでは一概に何とも言えないが、ラトビア、スペイン、エストニア、リト
アニアに次ぐ悪い指数である。


スロバキア経済が悪化している大きな要因は、不動産バブルの崩壊
だろう。
金融危機前は通貨がスロバキア・コルナだった為、住宅やオフィスを
購入するためのローンはユーロ建てで融資されてきた。
しかし危機後はコルナがユーロに対し一気に安くなったために、返済
総額はもちろん、金利も膨らんだ。
これが巨額な不良債権として焦げ付いてしまったわけだ。


観光業も含め、これといった産業が無いことから自国の経済政策だけ
では立ち直ることはできない。
人件費などの安さから、今後はますます海外からの投資を拡大してい
くべきだろう。
これはかつてアイルランドが実行した政策だが、今では欧州全体の
経済が不透明感に漂っていることから、法人税を思い切って下げたと
ころで、いまさらその効果の程は疑わしい。
サッカーW杯で見せた活躍を経済でも発揮してもらいたいものだ。



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