中国 レアアースの輸出規制に、日本は 「脱中国」 に向けて着々と進

中国のレアアース国家管理が進んでいる。
8月29日には第3回日中ハイレベル経済対話が行われ、この問題に
ついても話し合われたが、結局中国政府によるレアアース輸出規制は
見直されなかった。
中国側が 「環境保護と資源枯渇の懸念」 などを理由に、「資源保護と
国の安全保障上、規制はやむを得ない」 との認識を示したわけだ。


中国は7月、レアアースの輸出を昨年比で約4割削減すると発表た。
このまま輸出規制が続けば、日本の電機メーカーにとって原料調達に
支障をきたしてしまい、経済的な打撃となるのは必至だ。
中国がハイテク製品に欠かせないレアアースという政治的カードを用
いて、日本から経済的、技術的な譲歩を得ようとしていることは間違い
ない。 典型的な 「資源ナショナリズム外交」 である。
輸出規制によって対外交渉を有利に進めたいという思惑だ。


資源に乏しい我が国日本は、残念ながら過去にも資源ナショナリズム
外交に翻弄されてきた。
石油輸出国機構(OPEC)諸国、天然ガスのロシア、レアメタルの中国
など、揺さぶりを受けた事例は少なくない。
約70年前、米国から石油の輸出を一方的に禁止され、報復措置として
日本が太平洋戦争を仕掛けたことは知っての通り。


問題は世界のレアアース生産の9割以上を中国が独占し、その需要の
約5割が日本からやって来るという歪んだ構造になっている。

ところが近年、中国の経済成長から電気機器生産量が増えているため、
中国が自国保護という観点から、レアアース輸出規制を始めているため、
今回の混乱に至っているのだ。
とにかく資源を持たない日本が、我が身を嘆いても仕方がない。
今後はどのように対処していけばいいかを考えなければならない。


今後も希少な資源をお金だけで買うのではなく、資源国が持っていない
製品開発の技術を提供することで取引を行うことも重要であろう。
日本がカザフスタンでウラン権益を見事に獲得できた理由は、こういっ
た技術をアピールした結果、当時土壇場で中国を打ち負かしたことは記
憶に新しい。


さらに水面下で、日本企業は 「脱中国」 を着々と進めている。
日本企業の中には、米国、カナダ、豪州、モンゴル、アフリカなど、
他のレアアース産出国に対し、積極的に投資するところも出始めた。
官民が連携してベトナムでのレアアース鉱山開発計画が進行している。
さらに中国ほど良質でない鉱山から、レアアースを安価に抽出する技術
も研究されているのだ。


それから代替資源の開発も積極的に進めている。
三菱電機は、従来のレアアースによる永久磁石を使っていたモーター
部分に電磁石を使い、レアアースを使わないモーターを開発した。
他のメーカーや大学などでも、レアアースを使わなかったり、使用量を
減らすモーターの開発が行われている。
さらにアイシン精機京都大学は、回転体に超電導材料を使う研究を
行っている最中だ。
希少金属を使う場合と比較して、超電導モーターは10倍程度の回転
力が出ると発表されている。


とにかく今では廉価だからこそ、中国のレアアースは世界を席巻してい
るというのが実態だろう。
中国政府がレアアース国家管理をすることで、レアアースの価格が上昇
していけば、中国以外のレアアース生産が増えていくという見方もある。
当然日本政府や企業も、上記のように何とかしなければいけないという
考えを持つわけだから、中国以外の他国にシフトしてしまう。
そして革新的な技術を開発し、結果、中国不要論という日もやってくる。
中国の優位性は、こういった理由で崩される可能性が高いのだ。


どうやら中国は、最大の顧客である日本を甘く見ているフシがある。
それとも将来的な図式を見据えることができないのであろうか?
最後に今の円高も、日本にとって優位に働く。



 ★シティアライアンス 代表兼 「ヒルザー・ドットコム」 運営者