欧州危機再熱 不良債権問題とストライキ勃発で、通貨ユーロが下落

やはりというか、7月下旬に行われたEU諸国のストレステストは、
予想通りのイカサマだらけだったのか?
大手銀行などが保有する、リスクの高い国債の保証高を実際よりも
少なめに報告していたと、米国の日刊新聞社が伝えたのだ。
(米国の新聞社が報じること自体、何となく胡散臭いが. . .)


先だって7月23日に実施された欧州ストレステストでは、全91行の
うち、7行に計35億ユーロ(約3900億円)の資金不足が認められる
と発表していた。
不合格の7行は、ドイツとギリシャの各1行、スペインの5行だ。
ただ資金不足を指摘された銀行数が予想に反して少なかったことから、
機関投資家個人投資家の間では、査定基準が甘過ぎるのではない
か、との見方が台頭していた。


具体的にドイツ銀行協会が、同国の大手銀行10行は自己資本比率
の新基準導入に伴って、約1050億ユーロの増資が必要になる可能
性を指摘した。


さらに、7日のユーロ政府債市場では、アイルランド国債10年物の
ドイツ国債に対する利回りスプレッドが、ユーロ導入以来最大の水準
に拡大したという。
10年債の市場金利が6%近い水準にあることから、アイルランド
事実上の支払い不能状態に陥っていると結論。
2009年春から、国債市場がやっと正常な状態に戻ろうとする中で、
スプレッド拡大すれば、欧州諸国は今以上の大きな金利負担にさらさ
れることになる。


またストライキ問題も頭痛の種である。
6日フランス労働組合は、サルコジ大統領の年金改革制度に抗議し、
24時間のストライキを開始した。
同国では年金受給開始年齢を今の60歳から62歳に引き上げること
を提案しているという。
同国のトリプルA格付けを維持するためには不可欠と主張している。


また英国ロンドンでは地下鉄の24時間ストライキに入った。
今後も数回にわたって実施される模様で、今回は第一弾という。
こういった主要国の政治的な不安定さが、通貨ユーロの下落に歯止
めがかからない理由のひとつだ。
とにかく英国では住宅市場が、スペインやアイルランドギリシャ
同じくらい傷んでいる。
アジアでは香港の住宅市場と同程度の末期症状だという。


英国経済が2番底に陥る可能性が高くなった。
ドル、ユーロ、円に次ぐ取引の多い通貨であるポンドの価値が、ここ
にきてどんどん低下している。
7日の東京市場ではポンドが再度128円台に突入した。
そしてドルも83円台に再突入。
これによって反対通貨であるユーロが、対円で上昇するはずなのだが、
こちらも106円台に急落してしまった。
いよいよ 「魔の9月」 が少しずつ接近している。


来週から再来週にかけて大きな山場を迎えるだろう。
欧州主要国では、毎年9月に会計年度を実施しているところはない。
ドイツ、フランス、スイスは12月だし、豪州は6月だ。
英国、カナダは日本と同じ3月である。
やはり今回の危機再熱も “米国発” の可能性が高い。
米国大統領が、500億ドル規模の6ヵ年インフラ整備計画を打ち出
した理由も、中間選挙と再度の恐慌を極力防ぐ為の臨時的措置に
過ぎない。 というか、まだ法案が成立しているわけではない。
苦し紛れのアナウンス効果といったものだろう。



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