ギリシャ危機 IMFによる融資限界で、財政破綻は2012年頃(1)

IMF(国際通貨基金)は、経済・財政再建真っ只中のギリシャに対し、
約25億7千万ユーロの融資を承認したと発表。
これは5月に決めたIMFとしての300億ユーロの支援策の一部。
IMFによるギリシャの融資は、すでに今回の措置で計82億8千万
ユーロに上った。
おそらくこのままの融資が続けば、概ね2年後に300億ユーロの
支援額を使い果たしてしまうだろう。


最近になってPIIGS諸国だけでなく、ユーロ導入国をはじめとした
EU諸国の財政危機が再び喧しくなってきた。
アイルランドCDSスプレッドが、ドイツ国債と比較して上昇幅が
大きくなってきているのだ。
そして7月に一斉実施されたストレステストの信用性も怪しくなって
きたことで、1週間で対円2円ほどのユーロ安まで落ちたのだ。


日本の国債を買う人は、ほとんどが日本国内の人や企業であるが、
ギリシャの場合、8割以上を国外で買ってもらっている。
ギリシャ人そのものは自国の国債なんてあまり買いたがらない。
民間企業だってそうだ。
この点が日本国債とは大きく違う訳で、ギリシャは即、市場の動向
によって揺さぶられてしまう。


ユーロ導入国は現在16カ国であるが、欧州一金持ち国家のドイツ
国債を基準に各国の国債の良し悪しをはかる 「スプレッド」 と
いう数字が日々動いている。
ギリシャ債とドイツ債の差であるスプレッドは、今年に入ってどん
どん拡大し、最近になってアイルランド債のスプレッドも拡大してい
るのだ。


ギリシャに公務員が多いのは紛れもない事実だ。
09年は10年前と比べると3割も増え、114万人に達したという。
これは雇用者の3分の1に及ぶ数字で、勤め人の3人に1人が公務
員というものである。

当時日本が報じた10人に1人というものは、あくまでも人口比。
とにかく働いている人の3人に1人が公務員とは呆れる。
役人天国のイタリアですら、勤め人の10人に1人が公務員だ。


ギリシャ政府の債務は4年後にはGDPの150%以上になる。
確かに日本の比率のほうが高いが、ギリシャの問題は債務の殆どが
欧州の銀行をはじめとした金融機関であるから、1年以内の短期債
務が多いということだ。
金融危機前まではたとえ短期債でも、償還のたびに新規融資が各国
から行われていたから、右肩上がりの債権市場では回転率もうまく
働いていた。
日本の場合、国債の買い手のほとんどが、日本人や国内の日本企業
であるということから考えても、条件や環境が全く違う。
とにかく今のギリシャ政府債務を半減させるためには、うまくいくことを
条件に試算しても、あと30年はかかるというのだ。


ギリシャの根本的な大問題は今に始まったことではない。
要は一番大事なことを国民に知らせないし、説明できないという点だ
ろう。
そして中国などと同じく、数字やデータに信憑性が乏しく、国民自体
が国を信用していない点が大きい。



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