円高 欧州経済や米国経済の2番底が来れば、円相場は最高値更新も

今回実施された日銀の円安介入は、まさに意表を突かれた格好だ。
1ドル82円台に突入したとはいえ、最高値までまだもう少し余裕が
あったにもかかわらず、実に6年半ぶりの介入に踏み切ってしまった
のだ。


筆者も来週から月末にかけて、79円台の最高値を更新すると思っ
ていたが、今回のように1兆5千億円ともいえる日銀介入があって
しまっては、もはや今月中の80円台突破は難しいだろう。
せいぜい1ドル81円程度に収まるのではないかと感じる。


しかし円高の流れはもはや止まらない。
中長期的どころか短期的に観ても、ますます円高が進むだろう。
欧米諸国は、昨今のドルやユーロ安のおかげで、企業収益は少しず
つ改善している。
むしろ住宅や銀行、債権市場は悪化の一途を辿っているが、雇用の
改善・促進には、通貨安で輸出を伸ばすことが一番手っ取り早い。


もちろん今の通貨安は、各国政府だけの政策だけではない。
世界中で多くのネットユーザーが、FX(外国為替証拠金取引)を日々
行っている。
そういったユーザーは円高の流れが続くとみると、オンライン上で
ドルやユーロを売り、円をたくさん買い占めるのだ。
一人一人の額は、一部の投資家や機関投資家と比べれば小さいが、
利用している人は世界中に無数ともいえるほど存在するので、十分
影響力を放っているのは事実。


もはやこういった円高の流れを止めるのは、欧米諸国の要人による
口先介入か、政策金利を上げていくしかない。
だが経済情勢が日本以上に傷んでいる欧米などは、もはや公定歩合
の上昇なんて不可能に近い。
むしろ今後は日本との金利差が縮小してくるだろう。
自身も今月9月の動向を大変注視している。


しかしその一方で忘れてはならない。
実効為替レートでいえば、日本は1ドル58円程度が適正水準なのだ。
マスコミの円高暴言・円安妄想に騙されてはいけない。
TVで紹介する企業の苦境映像は、ほんの一部の例に過ぎない。
競争力に乏しい中小企業ばかり、お茶の間に流しているのだ。



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