日本人大学生の留学が激減 米国や欧州留学の魅力がなくなった。

文部科学省の調査によるば、海外に1か月以上にわたって派遣され
る国内の研究者が、ピーク時の半分以下に減少したという。
最盛期の2000年には7674人だったのが、去年は3739人。
文科省は、日本の研究施設が充実し、あえて海外に渡る研究者が少
なくなっている面もあるのではないか. . . と話した。


正解だろう。 これ以外の理由はどう考えても思いつかない。
しかしこの情報を掲載した某オンライン新聞は、こうも付け加えた。
ノーベル化学賞受賞が決まった日本人2氏は、海外での切磋琢磨
が業績の原動力になったとされる。
現在の日本人研究者の内向き志向が浮き彫りになった。 ” と。。


受賞した2人の中の根岸英一氏は、東京大学を卒業後、米ペンシル
バニア大学に留学した。
博士課程を取得後、日本の大学での勤務を希望していたが、職がみ
つからず、現パデュー大学で指導している。
同教授が数十年前に留学された時期は、日本の研究施設はまだま
発展途上国だった。
一度海外に留学し、理工系分野で活躍したいという志が低下してい
なければ、なかなか祖国に戻るという気持ちは起こらない。
このあたりが文系と違う点だろう。


米国の大学や大学院に留学する日本人が、ここ数年の間、激減して
いるというニュースも報道されている。
ハーバード大学に留学した日本人はわずか5人だという。
こういった現象をニュースキャスターやコメンテーターは、異口同音に、
「日本人の国力の低下」 だと皮肉ったような言葉で伝えた。
認識不足で、いい加減な発言だとすぐに感じた。
昔と比べてわざわざ米国へ行って、学ぶ必要がないから行かないだ
けである。


百歩譲って、外国語を身につけるための留学なら理解できる。
しかし理工系分野の場合、もう20年ほど前から日本の施設や技術
のほうが追い付き、追い越していることが多いのだ。
もちろん国内の研究施設で従事することは、会話は日本語だから、
わざわざ言葉がわからない欧米なんていく必要はない。
ましてやノーベル賞を受賞された日本人の方は、若い時は海外に出
て学ぶしかなかった。
中国人や韓国人、台湾人、その他東南アジア諸国出身の学生につ
いては、欧米留学は依然として健在である。
しかしここはきちんと頭を切り替えればわかることだ。


さらに日本人が留学を好まなくなった理由は他にもある。
日本の研究施設の近代化や、言葉だけの問題ではない。
現地の治安の問題、日本とは異なる医療保険制度についても海外
諸国は劣る。
根岸英一氏が米国に渡った頃は、まだ社会的に平和な頃だったとい
うが、80年代頃から銃がはびこり、貧富の差が拡大していることか
ら社会不安が増大しているのだ。
日々勉強や研究どころではないというのが一般的な感覚だろう。
金融危機前だけでなく、目下大不況の今でも、留学費用はかなりの
水準だと聞いている。


私は以前からこのブログで、
「これから米国への投資は、留学と海外旅行だけにしなさい」
と語った。
外国語(英語)を身につけるのなら、現地で長く生活したほうが良い
のかもしれない。しかし理数系分野を伸ばそうとする人は、あえて
留学する必要はない。
経済分野においても同じこと。
90年代後半、 LTCMといった訳のわからない金融工学を発見した
米国人2人がノーベル経済学賞を受賞した。
しかし2001年から不況に入って、こういった金融工学が成立しない
ことが判明し、結局破綻してしまった。
すべてがイカサマな金融手法だったのである。


サブプライム関連証券のような、詐欺商法を創造する国には行って
はいけない。
経済も詐欺まがいが多いことは、現地の格付け会社をみてもわかる。
破綻しそうな国や企業が、破綻や破綻危機にならないと危険かどうか
が見通せないのであるから、もともと経済指標なんて理解できていない
ことがわかる。
少なくとも米国留学は、文化や言葉を勉強するための文科系の学生
だけで十分だ。



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