チリ コピアポ鉱山落盤事故 全員救出も課題は山積。

チリ北部のサンホセ鉱山で、8月5日に発生した落盤事故で閉じ込
められた作業員の救出作戦は無事幕を閉じた。
日本の天皇・皇后両陛下も祝意を表し、川島裕侍従長がチリ駐日
大使に対し、祝意を電話で伝えたという。


チリ人32人、ボリビア人1人の計33人が全員無事だったことは喜
ばしいことであるが、昔から鉱山事故が絶えない同国にとって、今後
は安全管理の面での対応が急務となってくる。
救出劇だけでなく、事故そのものが世界中で報じられたことによっ
て再度の失敗は許されない。


実際チリでの鉱山事故は、今年に入っても30人の死亡事故が起こ
っている。
過去にも04年、07年にも大規模な鉱山事故が相次ぎ、多くの命
が失われているのだ。


チリは地下資源はもちろん、特に鉱物資源に恵まれている。
銅の採掘量は世界1位であり、世界シェアの36%に相当。
ヨウ素も世界1位の産出国で、2位の日本を引き離している。


昨今では、とくに新興国の需要拡大で銅価格が高騰。
銅の生産量は決して増えていないのだが、価格の上昇で前年比
2.6倍もの収益が上がったという。

これにより同国の採掘業社が増加したのはいいが、安全面より利
益追求を優先してきたため、今回の悲劇が起こったといわれる。


こういった危険性は随分前から指摘されてきており、同国民も重々
承知しているのだが、それだけ鉱山での仕事は収入が良いことも
あって、希望者が後を絶えないというのだ。
今回の33人の中には19歳の若者もいた。
同国の鉱山作業で得られる月収は、日本円にして12〜14万円。
一般的なチリ人の平均給与より高い。


今後は国全体での安全指針が求められることになる。
今年2月の大地震と違って、今回の事故はあくまでも人災である
ことを忘れてはいけない。



 ★シティアライアンス 代表兼 「ヒルザー・ドットコム」 運営者