円高は日本経済に好都合 中期的にドル・ユーロに並ぶ基軸通貨を

民主党の海江田経済財政担当大臣は、95年以来の水準まで円高
ドル安が進行している為替に対して、今後も、引き続き中長期的に
円高が進行するとの見方を示し、円の国際化についても対応してい
かなければならないと語った。
また来年度の税制改正で、法人税率が引き下げの結論になるとの
見通しも示した。


「円の国際化」 については何を今更言い出すのだろうかと思った。
国際化については30年ほど前から徐々に進んでいる。
1ドル360円から、240円に。 そしてその後のNYでのプラザ合意
で、120円台に突入。
07年には一時的に120円台まで円安になったが、米国発の金融
危機後は急激な円高が進み、現在は80円という具合だ。
だからこれからも、1ドル70円とか、60円台とか、50円台とかに
突入することに決まっているのである。


相変わらず円が金(ゴールド)と同じく安全資産として買われている
ことから、世界の主要通貨はもちろん、対途上国通貨に対しても、
ジワジワと高くなっている。
海江田大臣は今後も円が中長期的に高くなるだろうということだが、
すでに短期的にみても高くなっているのが現実。
今後は、「更なる国際化」 に向けて、最終的には基軸通貨を目指
してもらいたいと願っている。


とにかく非常に喜ばしいことだ。
円高は資源が乏しく、世界最大の農産物輸入国の日本として大き
な恩恵を受ける。
企業のM&A(企業の合併と買収)も他国より有利に働く。
TVや新聞といったメディアは、製造業などの工場が海外に逃避し
てしまうから、円高はよくない. . . などと伝えるが、昔から断片的
で偏向的な報道しかしないから、視聴者に誤解ばかり与えている
のである。
つまりマスコミ各社は、円高になると製造業のことしか考えない。


将来像ではなく、現在の状況を話そう。
すでに日本企業はずっと以前から円高対策が整っている。
輸出企業の4割は円建てで貿易決済を行っている。
しかも輸入については、ドルやユーロ建てで決済しているところが
多くなり始めていることから、まさに日本企業はイイトコ取りに進ん
でいるのである。


円高は確かに製造業の海外逃避に繋がるが、それは海外での雇
用に繋がるし、それは自ずと日本国内の本社が巨大になり、雇用
も増加することを意味する。
メーカーの市場拡大にもチャンスが広がる。 貿易上円建てで輸出
できない企業についても、原材料価格が安くなるので、十分相殺
できるではないか。
世界にマネできないハイテク製品などは、円高になっても、その分
上乗せすることも可能だろう。


円高で海外旅行客が増加することは言うまでもないが、旅行業者
が潤うことは、同時にJALといった航空会社も有利に動く。
何より政治的に揺さぶられる資源について、円高は取引における
リスクを最小限に抑えることができるのだ。
円高の一部分だけ恐れて、何を戦々恐々と語っているのか??
メリットの方が遥かに多いではないか。


また円高は国内市場の活性化に繋がる。
ほとんどの人は、バブル崩壊の経験から不動産価格の上昇を思い
つくだろうが、内需の活性化はどこの国でも、輸出できない産業に
ついては上昇する。
雇用が増え、経済的に豊かになれば、こういった不動産をはじめ
とした消費活動が活発になる。
どこの国でもそうだが、不動産バブルが起きるのは投機的な取引
といったマネーゲームが働くからであって、実需の場合はバブルな
んて起こらない。


国内のマスコミは、とにかくコツコツと汗水流して働く生産者側し
か味方につけない。
消費者のことなど2の次のような報道ぶりなのだ。
消費者も仕事を持っているから、ある意味では生産者と同じだ。
日本はGDPにおける輸出の割合が、わずか16%である。
さらにそういった16%の輸出関連企業についても、多くの輸入に
頼っていることも忘れてはいけない。



 ★シティアライアンス 代表兼 「ヒルザー・ドットコム」 運営者