アイルランド 対外負債がGDP8倍も、アイスランドとは違う理由

ユーロ圏16カ国の財務相とECB首脳は今、ブリュッセルに会し、
ギリシャ危機後に設立されたユーロ安定化基金を使い、その救済
策をアイルランドに向けさせることについて試みている。
いよいよ週明けには具体的な支援策が発表される。


一番の問題はギリシャ同様、たとえアイルランドがEUからの支援
を受け入れたとしても(可能性は100%だが)、それでポルトガル
やスペイン、イタリア、そしてフランスの支払い能力が、今後向上し
ていくというわけではない。


何度も記載したが、アイルランドの対外負債はGDPの8.5倍。
2年前に国家破綻に陥ったアイスランドが、GDPの9倍の債務を
抱えていたことを比べれば、まるで瓜ふたつのようだ。


しかしアイスランドと決定的に違う点は、アイルランドはEU加盟
国であり、ユーロ通貨国でもある。
これがギリシャ同様、アイルランドもすぐに破綻に陥ることがない
理由である。
アイスランドの場合は全く逆で、ユーロはもちろん、EUにも加盟
していない。
だからリーマンショック後、すぐにデフォルトに陥った。


アイスランドはこういった建国以来の屈辱で、2009年7月には
思い切ってEU加盟への申請を行った。
今後3年以内の加盟を
目指しているという。
しかしEU加盟が順調に進むとは到底思えない。
ユーロ加盟同様に、EU加盟にも厳しい条件がある。
まず漁業が盛んなアイスランドだけに、漁獲量がEU諸国によっ
て制限されるのだ。
アイスランドの広大な漁場を他の加盟各国に明け渡すことにもな
り、地元漁業界は激しく抵抗している。


また過去にデンマークから独立を果たしたことで、愛国心が強く、
EU加盟に抵抗感を持つ人も少なくないのだ。
過去には英国とも敵対関係にあった。


やや話が逸れてしまったが、アイルランド経済を支援することは、
欧州経済全体に悪影響をもたらすだろう。
デフォルトは一時的に無くなるが、それによって債務が無くなるこ
とはない。
9月にはついに失業率が14%を超えた。
ますます悪化の一途を辿っている状態だ。
また経済規模が小さいだけに、ポルトガルもすぐに後を追うことに
なるだろう。
さらにスペインも来年夏には現実と化する可能性が高い。
イタリアは不動産バブルが小さかったので、まだまだ先だろう。



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