内部告発サイト 「ウィキリークス」 の創設者に、逮捕状が出た理由

匿名を使い、政府や企業、そして宗教まで関わる機密情報を公開する
ウェブサイト 「ウィキリークス」。
投稿者の匿名性を重視し、機密情報から投稿者が特定されないように
する努力がなされているのが特徴だ。


創設者は豪州出身のジュリアン・アサンジ氏 39歳。
そして設立日は2006年12月。
設立からわずか1年以内に120万件もの機密文書をデータベースに
収集したというのだ。
今のところ公表されたのはごく一部のようだが、驚いたことに、在日米
大使館から流出した資料が3番目に多いという。


このウィキリークスを世界に轟かせたきっかけが、今年4月に公開さ
れた映像で、バグダッドで07年7月に録画された米軍アパッチヘリに
よる銃照準器のビデオだった。
この惨劇は、ジャーナリストのカメラマンを含む10数人が米軍ヘリの
攻撃により殺害された。
米兵らの会話も録音されていて、世界中の視聴者に衝撃を与えた。
この映像を提供した軍人は、翌月逮捕されている。


その後もアフガニスタンでの戦争に関する米軍機密文書を公開。
10月にもイラク戦争の米機密文書、約40万点が公開。
その後も政府関係者による細かい発言も明らかになった。
中国外務次官による、日本の常任理事国反対発言。
同じく同国高官の、朝鮮半島は韓国がコントロールすべきだ。。。
さらに韓国当局者による、金総書記の死後は2〜3年で崩壊. . .など、
枚挙にいとまがない。
こういった情報流出を恐れたことから、中国やタイなどがアクセス規制
を行っている。


さらに今週に入って、ある米大手銀行に関する秘密文書を来年の早い
時期に公開する用意のあることを、創設者アサンジ氏のインタビュー
で分かったという。
このインタビューは11月初旬に語っていたが、このなかで同氏は、
大手銀行の数万件の情報を公開する用意があると言い、その結果で、
1行か2行は潰れるかもしれないと語ったというのだ。


今回、ICPO(国際刑事警察機構:インターポール)が同氏の逮捕状
を思い切って請求した理由がコレだ。
米国と欧州の両政府および公的機関が、逮捕するよう圧力をかけたに
違いない。
上記のようにウィキリークスのサイト、及び機密情報の漏えい問題は、
すでに4月にはハッキリわかっていたのである。
その後アフガニスタン問題の機密文書公開も報道されたが、創設者の
逮捕問題にまで発展しなかった。
また同氏の婦女暴行問題についても、すでに今年の8月には容疑が
かけられていたのだが、なぜ今頃になって逮捕状の請求なのか・・・と、
普通ならおかしいと感じるのは私だけではないだろう。


米国の大手銀行の暴露をされては、銀行の信用問題を超え、業績面
から考えても大問題になることは間違いない。
まさに国家的大惨事にまで発展することだろう。
私が以前に記載した200兆ドルの負債は、あくまでマクロ的な意味で
書いたのだが、個別の銀行単位で暴露されると、それは米国だけでな
く、欧州諸国全体の信用問題に発展するからだ。
インターバンクや債権市場を調べれば、すぐに判明する。
創設者は大手米銀の1行か2行は潰れるかもしれないと言い放つが、
そんな程度では済まなくなるのは確実だ。


しかも疑惑が最も高いといわれる 「ゴールドマンサックス」 の情報を
漏らすというのだから堪ったものではない。
実際、当銀行にどのくらいの負債があるのかどうかまでは知らない。
しかしサブプライム問題で揺れ、08年3月に破綻したベアスターンズ
を吸収したJPモルガンチェースは、当時80兆ドルもの負債を抱えて
いるという噂が流れた。
もしこれが本当なら、このたった1社だけで米国GDPの6〜7倍もの
不良債権を抱えていることになるのだ。


リーマンブラザーズの破綻も、裁判所の提出書類から、64兆円以上
の負債があったというのだが、実際はもっと多かったに違いない。
本当の情報は絶対に一般国民に知らせることはない。
シティバンクについても、帳簿外が7つも8つもあるといわれている。
事実は絶対に明らかにしないのが欧米の金融機関である。
もし創設者の逮捕が現実に起こっても、他の従業員は世界中に存在
しているのだから、逮捕後も機密情報が公開されないとは限らない。
米国政府が最も恐れているのは、外交上の情報ではなく、軍の機密
情報でもなく、金融機関の隠ぺい工作を暴露されることなのだ。



 ★シティアライアンス 代表兼 「ヒルザー・ドットコム」 運営者