米国(アメリカ)の失業率が悪化 デトロイトは人口急減 死体都市に

やはり米国経済の回復はおとぎ話に過ぎなかった。
11月の失業率は4月以来の高水準を付け、9.8%まで拡大した。
これは求職者のうち1500万人以上が職に就いていない状況で、
いわゆる 「完全失業率」 としてカウントされる。


さらに6カ月以上の長期失業者が占める割合は41.9%。
その数は630万人に達しているという。
また仕事探しを諦めた人や、週1日とか週1時間といった超短期労
働を余儀なくされている人を含めば、さらに指標は悪くなる。
ユーロ圏の失業率も先日の発表で0.1ポイント悪化したことから、
来年はいよいよ景気の2番底が避けられない状況だ。


とくに最も失業率が高いミシガン州デトロイト市は、まさに “死”
という表現に近い。
完全失業率は30%まで達しており、GMやクライスラーの破綻で、
組み立て工場だけでなく、多くの下請け会社までも潰れていった。
同州の自動車工員の55%が解雇となったのである。
いわゆるこういった自動車工場で従業員1人が解雇されれば、下請
けや部品輸送、他関連会社で10人位の解雇者が出るというのだ。


またデトロイト市は、人口そのものも減ってきている。
かつて200万人いたのが、今では80万人まで減少しているのだ。
またミシガン州自体の失業率も23%である。
だが実際のところは、この倍はあるだろうといわれている。


悪化しているのは失業率だけではない。
治安や市民の心までも悪化しているという。
殺人以外の事件が起きても、翌日にならなければ警察は駆けつけ
ないというのだ。
デトロイト市中心部から、車で約5分位進んだところにある住宅地も、
なぜか火事で焼けたままの家が目立つという。
こんな情勢だから、自宅には火災保険なんて掛けられない。
それも3軒に2軒は空き家だというから、衰退は凄まじい。
金融危機前は一軒1億円という住宅価格も、今では3千万円で売り
出している。


またフードスタンプ利用も急増しているが、直接食料品の購入では
なく、現金に換金し、その金でコカインに手を出している人が増えて
いるという。 もはや救いようがない状況だ。
ナント今では少しずつ、コカイン産業が同州や同市の成長産業にな
りつつあるという。

果たしてこれが景気の良い話と考えていいのだろうか?
燃費の悪い自動車を作り出す都市ということで、環境破壊に突っ走
っていたのが、今では社会環境の破壊へと進んでいるということだ。


今回の失業率悪化の発表で、米経済諮問委員会の委員長は、
「容認できないほど高い」 という認識を示したというが、これは正に
米国が自ら招いた自業自得といったものである。
いよいよ来年は財政の一段の悪化と、欧州のソブリンリスクが増し
てくることから、米国の完全失業率は10%後半まで跳ね上がると
予想される。
つまりこのことは、ドル安政策を続けていくという意味でもある。



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