ブラジル経済 GDP2兆ドル突破! 通貨レアルと資源高で発展

金融危機後、南米ブラジル経済が好調だ。
人口1億9千万を超える国が、海外からの投資と鉄鋼といった資源
高で急成長をしている。


また自動車市場も拡大しており、2010年の新車販売台数は前年
比で11・9%増の351万5120台。
4年連続で過去最高を記録したという。
これによりブラジルはついにドイツを抜き、中国、米国、日本に次ぐ
世界4位の自動車市場となった。


通貨レアルも上昇している。
金融危機後は我が国日本の円に対して、ほとんどの国の通貨が下
がっているのに、ブラジル・レアルは上昇している。
リーマン・ショック後の2008年10月中旬には、1レアル41円ほど
だった為替相場が、最新のデータでは49円まで上昇しているのだ。
こういった通貨高が功を奏しているのか、去年ブラジルのGDPは、
初めて2兆ドルを突破した。


文化面でもブラジルは日本の影響を受けている。
日本のアニメや特撮にファンが多く、ブラジル国民は日本のヒーロー
を子供の時からお茶の間で受け入れてきた。
これはブラジルが、海外で最大の日系人社会を築いてきたことも大
きな要因としてあるだろう。


果たしてブラジル経済はこのまま拡大が続くのだろうか?
石油は9割が国内生産で賄っているし、鉄鉱石の価格だけではなく、
今ではコーヒーや砂糖といった農産物の価格も上昇している。
ブラジルは豪州をも凌ぐ、世界最大の鉄鉱石産出国だ。
つまり、こういった資源高の恩恵を強く受けている国だといっていい。
だがひとたび世界的な恐慌が起これば、一気に急降下する可能性
が高いのだ。


ブラジルは 『 DEBT 』 (債務)という単語に属している。
これはドバイ、EU、ブラジル、トルコの頭文字である。
規模的には米国や英国ほど巨額ではないが、対外債務がかなり
多い国なのだ。
ブラジルは70年代に、2度の石油危機から対外債務が膨らんでい
った。
その後82年と87年に債務の支払いが遅れたことから、その後は、
2度に渡るデノミ(通貨切り下げ)を余儀なくされたのです。
80年代後半には1000%ものインフレが起こり、再び93年には
2500%というハイパーインフレを誘発。
これにより、当時の通貨クルゼイロを実に2兆7500億分の1とい
う切り下げを断行しました。
まさにジンバブエもびっくりです。


これにより当時の通貨クルゼイロは紙屑同然に変身しました。
国内の社会不安も増大し、貧困や格差、犯罪も一気に急増。
94年には今の通貨レアルに名称を変更しましたが、99年には早
くも通貨危機が襲い、IMFが支援に乗り出しました。
隣国アルゼンチンは2002年に、デフォルトに陥ったのは知っての
通り。
ブラジルは今でも米国や中国、いやそれ以上に貧富の差が激しい
国として知られています。


しかし2007年にはIMFからの借金を完済したことから、見事に
純債権国に転換しました。
その後も少しずつではあるが、GDP比で債権額を増やしています。
外貨準備高も2752億ドルと、世界8位まで積み上げている。
ところがこういった最近の好指標とは反比例して、ブラジルは今でも
破綻リスクが高い国として挙げられているのだ。
もちろん欧州諸国やドバイ、一部の米国主要都市ほどではないが、
中南米ではベネズエラ、アルゼンチン、コロンビアに次いで破綻懸念
が高い。
ペルーやメキシコより破綻リスクが大きいのだ。


まだまだブラジル産業の基盤は弱い。
スポーツでは2014年にサッカーのW杯、そして2年後の2016年
には夏季五輪が行われる国である。
これだけ見ると華々しい未来が多いと思えるが、これから迎えるで
あろう世界的金融危機の中では、再度需要が縮小していくだろう。
今年、欧州や米国の金融危機が再熱すればブラジルも無傷ではい
られない。


ブラジル経済を左右する鉄鉱石の需要や価格は、今中国の不動産
バブルに支えられているといっても過言ではない。
政策金利もブラジルは10.75%で、ぶっちぎりの1位。
これが通貨レアル高を招いている原因に他ならない。
2位のトルコリラ6.50%、3位の南アフリカランド5.50%を大きく
引き離している。
ちなみに4位が豪州ドルの4.75%である。


しかし新興国政策金利が高いのは、世界から流入している資金
を引き留めたいという思惑もある
ので、こういった脆弱さがイザとな
れば大きなリスクに直面してしまうのだ。
実際ブラジルレアルは02年と08年に暴落しています。
今年2011年はブラジルにとって再び試練が訪れるだろう。



 ★シティアライアンス 代表兼 「ヒルザー・ドットコム」 運営者