財政再建 国と地方の借金返済には、地方公務員の人件費が鍵(1)

債権者は日本人とはいえ、国の借金が増加するばかりである。
平成22年度の一般会計歳出総額は約92兆3000億円。
前年21年度が約88兆5400億円だから、4兆円弱増加して
いることになる。


毎年同じことだが、歳出には大きく3つに分けられる。
「一般歳出」 「国債費」 「地方交付税交付金」 である。
このうち一般歳出が全体の6割近くを占めている。
つまり国の施設やサービス、そして国家公務員の人件費だ。


次に国債費であるが、これは国の借金に充てられる費用。
全体の4分の1を占めており、その半分がナント利息の支払い。
この利息が年間10兆円にも上っているのだ。
消費税の増税が叫ばれている理由が何となくでもわかる。


最後に地方交付税交付金であるが、全体の2割を占めている。
簡単に言うと、収入の少ない地方へ国から交付されているお金
である。
しかも各自治体がそれぞれの用途に応じて使うことになる。


国と自治体が持つ借金は間もなく1000兆円に達する。
こういった国債や地方債は、ほとんどが日本国民や日本企業が
所有しているわけだから、海外で金融不安が起こっても、すぐに
回収されたりする惧れは小さい。
しかしGDPの190%超にも上る財政赤字については、そろそろ
危機感を持たなければならない。
債権者は日本国民であるからこそ、将来の確固たる再建見通し
が出てこないと、今以上の債権を買ってくれないこともあるのだ。


将来の子供や孫に影響が及びそうになっても、個人的には売却
によって額面以上は回収できる。
10年物長期国債に至っても年率1.1〜2%程度。
主要国で最も低いという安定感がある。
だからこそ今後は目に見える歳出削減が必要となってくるのだ。


TVや新聞といったメディアでは、連日政治家の対応について大
きく取り上げている。
それは報道する側としては当然としても、いろいろな意見・見解
をゴチャ混ぜにして視聴者に難しく伝えるから、誤解が生じてい
るのだ。
司会者やコメンテーターは立場上、安易な表現で論じることは
できないから、自称専門家丸出しで細かく論じている。
まるで棒読みのような感覚で話すから、説得力が感じられない。
ハッキリと具体策を語るのは、ある意味でタブー視されている。
困ったことである。


本題に入るが、実は財政再建の方法はたった2つだけ。
収入を増やすか、支出を減らすしかない。
さて増やす方で真っ先に思い浮かぶのが、消費税をはじめとした
増税
しかし預金好きな日本人から考えても、安易に増税すれば消費は
確実に縮小に向かう。
増税して景気が冷え込み、結果的に税収が落ち込んでしまったら
元も子もない。
筆者も何度か書いてきたが、消費税の増税をするなら規制緩和
同時にどんどんやらなければならない。


やはりなんと言っても現実的に考えられるのが支出の削減だ。
一般的に支持されやすいので、思い切った抜本的改革を期待した
いのだが、事業仕分けや公共事業の削減でもわかる通り、思った
ほど減らせないというのが実情だろう。
そこで最も狙い撃ちされやすのが、国家公務員の人件費。
ところがこれもなかなか削減できる代物ではない。


先日のブログでも書いたが、日本は欧米に比べ政府支出が比較
的小さい。
また大半の官僚は国家一種試験の突破に向けて、大学生から猛
勉強してきた。
つまり青春時代を勉強一筋で過ごしてきたというのが本当だろう。
一概に比較はできないが、待遇についても大手民間企業と同じく
らいと考えてよい。
そういった意味では安定しているが、年を取ってからの年金事情が
民間企業より恵まれているといったところか。


実は歳出削減で最も注目したいのが、地方交付税交付金
以前から地方分権も叫ばれているが、これがまた政治家のお膝元
も重なって、なかなか改革できていないのが現状だ。
省庁にやってくる陳情も減らないし、政令指定都市の職員だって、
都道府県を通さずに国と接触できるということだけだから、支出の
削減には全く解決していない。
地方債の発行や、宝くじの収入がどれだけ増えるのかが問題。


そこで改革が必要となるのが、地方公務員の人件費削減だ。
最もわかりやすい方法はこれしかないだろう。
次回、具体的に述べていきたい。



 ★シティアライアンス 代表兼 「ヒルザー・ドットコム」 運営者