パキスタン ザルダリ大統領が来日 原子力協定などの支援を求める

パキスタンのザルダリ大統領は、今月21日(月)から3日間の日程で
日本を公式訪問した。
同国内での貧困根絶などに向けて、日本を含む国際社会の支援を改
めて求めてきたようだ。


また同大統領は、日本がパキスタンと同じくNPT(核拡散防止条約)
に加盟していない敵対国、インドとの原子力協定締結に向けた交渉
を日印の両政府が始めたことについて、
“ 我々が同じ扱いを受けられない理由は何もない ” と述べ、
電力不足が深刻化するなか、原子力分野で世界をリードする日本と
の協力関係を望む考えを示した。


日本とパキスタン両国の貿易収支は日本側の大幅な黒字。
日本からの経済援助や投資は、インドと比較するとかなり少ない。
これはひとえに不安定な政治と治安の悪化だ。
外交的にも中国と良好な関係にあることも一因。
こういったことから海外からの旅行者も決して多くない。
南部にある同国最大の都市カラチも例外ではなく、同都市だけなら
問題ないが、周辺都市や観光名所を訪れる場合、必ず警官を雇って
一緒に同する行必要があるという。

これではとても 「旅行」 なんていう気分ではない。


とにかくリーマン・ショック後の同国経済は悪化の一途。
この金融危機が起った一週間前に、ザルダリ大統領は就任した。
それにしても時期が最悪だったといえる。
主に地方についてはインフラ整備が十分進んでいない。
2005年のパキスタン地震や去年の大洪水問題についても、自然
災害の前にはとにかく弱い。
実際この洪水の影響で、インフラや農業被害にとどまらず、国際収
支や財政といったマクロ経済に深刻な影響を与えた。
今でも一部の地域では完全に水が引いていない状態だという。


さらに当然のことだが国内の農産物価格が急上昇し、洪水が襲った
後、約1カ月間で食糧価格が最大50%も上昇した。
しかしそれが一服しても束の間だった。
今のような世界的な食糧価格の高騰を再度モロに受けているのだ。
パキスタンは自然だけでななく、世界情勢に対しても脆弱さを露呈
したといえる。


この大洪水で、日本も国際緊急援助隊派遣法に基づく派遣命令を
発出。
陸上自衛隊第4師団が派遣され、復興活動を行った。
約1ヵ月半後の10月10日をもって無事活動を終結した。
だがこれはあくまで食糧配布や洪水の中の救援活動であり、その
後の伝染病拡大などには手が回っていない。


こういった世界的金融危機や自然災害の影響で、パキスタンはまさ
に 「泣きっ面に蜂」 を経験したわけなのだが、去年秋にはIMFから
4億5千万ドルもの支援と、EUからは75品目もの輸出品に対して
関税を免除された。
こういったことから、通貨パキスタン・ルピーも下落している。
約半年前までは1Pルピー = 約1.2円であったのが、今では更に
下落を続け、約0.9円台まで弱くなっている。
とにかく治安問題と世界からの投資誘致が急務であろう。



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