米国(アメリカ)経済 QE2の効果で3月の米銀破綻件数が減少か

今年(月)3月の米銀の破綻数が過去2年より少ない。
今のところまだ2行だけである。
過去2年間の3月に破綻した銀行は、09年が7行、10年が14行。
毎年9月に次ぐ重要決算期であるにもかかわらず、たった2行の破綻数
で収まっているのは、まさに過去2回に渡って実施された量的緩和政策
のおかげである。


リーマンショック後、FRBは11月に量的緩和第1弾(QE1)を実施。
この中身は金融機関への貸し出しが主であった。
それまで豊富な資金を利用し、GSといった巨大金融機関などに貸し付
け、そのおかげで世界的に名のある企業は残すことができた。
最低でも吸収合併によって存続させていったのである。
個別の金融機関名についてはもはや紹介するまでもない。


ところがQE1実施翌年の09年10月にギリシャ政権交代が起ると、
ギリシャ危機が噴出してしまった。
これがギリシャショックの前段階となった。
そしてその後は米国でも30年国債が不調に。
そのまま2010年3月にQE1が終了した。
そして去年秋、6千億ドルに及ぶQE2が実施された。
終了予定時期は今年6月である。
QE1でもQE2でも、期間は四半期決算中に終了されることになる。


目下行われているQE2だが、前回QE1と最も違う点は、直接金融機関
への資金貸し出しを大幅に少なくしたことだ。
その一方で長期国債の購入はQE1以上に増やした。
MBS」 という住宅ローン向けの債券の買い入れと、長期国債保有
QE2の特徴である。
なんとしてもデフレを抑えたいという意図がミエミエだ。


連邦政府の債務上限問題は、今年5月までは何とか持ち堪える。
米国の財政赤字は3月20日現在、公式発表で14兆ドル。
しかしこれに、州政府の負債や地方自治体の負債、住宅公社2社、民間
企業や家計の負債、そして対外債務やその他の公的医療機関等といった
借金を含めると、日本円で優に 「京」 の単位に入っているのだ。
もし今後米国が本格的なデフレに陥れば、デフォルトは間違いない。
今の日本のデフレなんか可愛いものである。


米国が通貨安戦争を仕掛けようとする気持ちはよくわかる。
なんとしてもドル安を進め、インフレを起こしたいからだ。
しかし同時にギリシャショック後は、通貨ユーロの下落が激しかったことも
あり、為替相場で反対に動くドルは高くなってしまった。
もちろん円に対しては下落しているが、これから再び本格的にユーロが
下落すれば、結局ドルは高くなってしまう。
つまり米国はインフレ政策が先送りになってしまうということだ。


先日のブログでも記載したが、QE2(6千億ドル)の約半分は金融機関に
流れていった。
こういったところで働く職員への給与などだ。
それから金融危機後米国は、連邦政府傘下機関への雇用を大幅に増や
している。
公的機関が雇用を支えるようになっていったので、失業率も若干ではあ
るが改善しているだけ。
つまり財政赤字はどんどん膨らんでいるのである。


日本のマスコミはこういった事実を詳細に報道しないから、一般の日本人
には全く実感が湧いてこない。
量的緩和実施やMBSの購入という事実は伝えるが、これが危機の発端
になるという報道は全くしない。
あくまでも 「危機を回避した」 というニュアンスしか伝えない。
一般の人は、量的緩和〜〜? MBS〜〜? といった感じで、あまり意味
は知らないからだ。


とにかくもうすでに悲劇的な事態に突入しているものと思われる。
債務上限問題も再度引き延ばしされる可能性もあるが、そうこうしている
間に米国は債務不履行(デフォルト)宣言をしてしまうだろう。
株や為替といった米国関連に投資している人も、同じく悲劇をみる。
なぜならコトがわかった時には、もう手遅れだからだ。
とにかく多国籍軍によるリビア攻撃後でも、円高ドル安が進んでいるのが
何よりの証拠である。
協調介入をしなければドル安は阻止できないという時代になった。



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