ユーロ圏PIIGS諸国財政危機 ベルギーの政権が不在な理由

最近はユーロ圏、特にPIIGS諸国の国債問題を頻繁に紹介している。
今日は久々にギリシャの財政危機についても述べてみたい。


ギリシャ10年物長期国債は、3月上旬からやや下降気味であったが、
ここへきて再び上昇してきている。
最新の利回りは12.747%。
これはギリシャだけに限らない。  ポルトガルアイルランドも同様で、
この3カ国は、ほぼ1か月に1%ずつ上昇している。


ギリシャに対する銀行債権の半分をドイツとフランスが占めている。
その次の債権保有国が米国だ。
そしてポルトガル向け銀行債権のうち約3割強がスペイン。
何度も言うが、ポルトガルの信用不安は直接スペインへと連鎖する。


また昨日一部紹介したハンガリーだが、ハンガリー向け銀行債権に
ついては、オーストリアとドイツで全体の約5割を占める。

そのオーストリアの失業率が、ここ2〜3カ月間上昇している。
不気味である。
中立国の一角として君臨しているが、財政危機は国の借金である。
最終的には国民にツケが回される。


ただドイツもフランスもそうだが、どこも一国への貸し出しを集中させ
ているわけではない。

スペインはポルトガルへの融資比重が高く、あまりにも極端であるが、
その他の債権国は国力が大きく、貸し出しをうまく分散させている。
だがひとつひとつの各国債権額が大きくなくても、破綻リスクが他国
に伝播してしまうと、結局資金繰りが圧迫してしまうことになる。
これがユーロ圏全体の問題でもあるし、EUにも波及してくるのだ。
もちろん同時に米国へもジワジワ効いてくる。


ギリシャの財政がガタガタであることは、前政権からわかっていた。
今のパパンドレウ首相は、バランスシートを正直に公表したというこ
とで、そういった意味や姿勢では評価されているが、首相になる前ま
では外務大臣を務めていたのだ。
さらに以前にも紹介したが、祖父・父・自身と3代に渡って首相の座
に就いている。
日本における自民党議員と同じか、それ以上の家系である。
だから評価するしない以前の問題だ。
財政事情については、ずっと以前から把握していたに違いない。


同じく昨日はベルギ―の政治空白についても述べた。
なぜベルギーほどの先進国が、いまだに正式な政権ができないでい
るのだろうか?
2010年1月、ファンロンパイ氏が初代のEU大統領に就任した。
ベルギー出身である。
そしてベルギーにはEU本部がある。
そしてこのファンロンパイ氏は元ベルギー首相だったのだ。
こういったことと何か胡散臭い背後関係がありそうである。


前首相のイヴ・ルテルム氏は、オランダ語圏とフランス語圏が対立し
たことを辞任した理由に挙げているが、本当のとこは謎である。
その後も政権が出来上がらない理由は、同国の首相における役割や
権限の縮小を恐れてなのか. . . . ということ。
もしかしたら当のファンロンパイEU大統領が、首相を実質的に掌握し
ている可能性もあるのだ。



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