ユーロ圏PIIGS諸国財政危機 スペインは今年最大の試練に

ユーロ圏で4番目の経済規模を誇る国 スペイン。
このスペインが、今年の夏と秋に大量の国債償還を迎える。
その額それぞれ200億ユーロを超え、ポルトガルを遥かに凌ぐのだ。


やはりPIIGS諸国の危機は順番通り訪れるというのか。
去年5月中旬に起こったギリシャ・ショックを発端として、同年秋には
アイルランド、そして今のポルトガルに波及してしまった。
一昨日のブログでも記載したが、ポルトガルはまさに今月中旬と6月
国債の償還を迎えるのだが、スペインは8月と10月にやってくる。


スペインに対する銀行債権国はドイツやフランスはもちろん、英国や
米国も同じで、多額の債権を有している。
その規模はアイルランドをも凌ぐほどの額である。
まず英国はPIIGS向け融資全体の3割、ドイツは4割、そしてフラ
ンスや米国に至っては5割だ。
だから中核国のドイツ、フランスも遅かれ早かれ、共倒れになるとい
う運命なのだ。


スペインは8月の償還は乗り切るだろうが、これが再び10月になる
と信用不安が急激に拡大してくる。
ECBや主要国は、スペインの償還時期については重々承知してい
るから、ユーロ危機は10月末にやってくるだろう. . . という思惑では
ほぼ一致している。
「スペインに危機が連鎖したらユーロ圏は持たない」 というニュース
はすでに去年の春から伝わっている。
だからユーロ圏だけでなく、EUの国民も厳しい目でみている。


スペインの最新失業率は20.5%。
去年5月に20%の大台に達し、その後もかろうじて横ばいに推移し
ているが、改善の兆しは全くみえない。
どこの国でもそうだが、政治の上でもこれから厳しい正念場を迎える
ことになろう。
先日スペインのサパテロ首相が、来年2012年の選挙に出馬しない
ことを表明した。
2004年4月から就任しているので、8年間の在任期間で幕を下ろ
すことになる。
サパテロ首相は去年8月から9月にかけて来日も果たした。


しかし幕を下ろす人は、なにもサパテロ首相だけではない。
現ECB総裁のトルシェ氏も、今年10月一杯をもって任期を全うする
ことになる。
残すところ半年間だが、ECB内だけでなく主要国のトップ、それから
歴史を創ってきた欧州貴族も関わって、人選を進めているものとみら
れる。
ちょうどこの頃はいよいよ欧州危機の第2幕が訪れる。
これはもう確実だ。
いうまでもないが9月は米国の決算期である。
もし量的緩和第2弾で終了したら、欧州危機だけでなく世界的大恐
慌に拡大するだろう。



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