通貨切り下げ(デノミネーション) 今後は東欧や中南米、アジアでも

かつて旧ソ連に属し、1991年以降CISとして独立したベラルーシが24日、
通貨の切り下げ(デノミ)を行った。
ベラルーシの通貨は 「ベラルーシ・ルーブル」。
ロシアとの友好関係を維持し、西側(NATO)諸国とは反旗を掲げる国だ。


前日23日までは1ドル=3155ルーブルであったレートが、今回は一気に
1ドル=4930ルーブルと、56%も引き下げてしまったのだ。
ちなみに1年前の3月は1ドル=2978ルーブルであった。


通貨を切り下げる主な要因は、同国経済の悪化。
慢性的な経常赤字や自国通貨の買い支えによって、外貨が激減したことだ。
通貨の価値が下がるから、物価が急激に上昇する。
つまり強烈なインフレを招くことになるのだ。
ベラルーシ独裁国家であるから、事前に計画し、デノミ時期を国民に伝え
ていたかどうかはわからない。
とにかく23日時点で、国民が日常品の買いだめに走っていたらしい。
今年に入ってもベラルーシほどではないが、南米のベネズエラ、アジアでは
ベトナムが切り下げを行った。


こういった通貨危機といえば、隣国の韓国を思い出す。
1997年12月、つまり韓国の会計年度末なのだが、借金の返済等から外貨
準備が急激に減っていった。
国債を刷ることも考えたというが、個人資産が少ない韓国では調達できず。
また日本や欧米からの資金調達も断られたという。
当時日本は自民党の三塚大蔵大臣だったが、韓国の信用能力の低さから
融資をしなかったらしい。


そして韓国はついに、断腸の思いでIMFに助け船を求めた。
欧米や日本などからも含めた総融資額は、当時のレートで570億ドル。
それまでメキシコがIMFなどから調達した550億ドルを上回ったのだ。
日本が韓国に融資した規模は、それぞれ欧州の倍、米国の倍だった。
やはり韓国の財閥中心といった経済構造を変えるため、日本はすぐに融資
を承認しなかったのだろう。
まずはIMFへ申請を。。。 といったところか。


実は日本では民主党政権になって、通貨の切り上げを計画していた。
世界的な金融危機から1ドル=100円になった時点で、当時の鳩山前首相
が、積極的に進めようとしていたらしい。
もちろん切り上げ後のレートは、1ドル=1円だったかもしれない。
しかし当時の藤井財務大臣が健康上の理由で辞任したので、待望ともいえ
る計画は頓挫してしまったという。


少なくとも今の菅政権では、円の切り上げはしないだろう。
そんなことをしたら基軸通貨ドルの信用を今以上に落とすからだ。
米国の意向で動く菅内閣では、野心的な計画は何も持ち上がらない。
菅直人が総理の座にいる限り、民主党の基本理念は帰ってこないのである。



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