スペイン経済危機 不動産市場は後退し、ギャンブル事業は旺盛

スペイン空港公社の発表によれば、21日に起こったアイスランド火山灰
の影響で、ドイツとスペインを結ぶフライトのうち、20便がキャンセルにな
ったと発表。
目下のところ同国内には火山灰が及んでないとして、国内線の影響は
無いというもの。
ただしスペインは、同国GDP比で観光産業の割合が世界で一番高い。
欧米をはじめとした周辺国からの旅行客が頼りだから、国際線の影響が
長引けば打撃を受けるのは必至だ。


また不動産市場も低迷したままだ。
というより、ますます悪化している。
同国国家統計局によると、今年3月の住宅ローン契約数は4万3176件。
これは前年同月比20.2%減少となった。
これで12ヶ月連続の下落となったわけだが、指数の悪化は以下の通り。
1月は7.9%下落、2月は8.6%の下落だから、それと比べても大きく
下がっていることがわかる。


さて今後も経済指標が悪化していくことが確実なスペインだが、今回政府
保有する国営宝くじ会社を一部思い切って民営化し、株式を上場してい
く計画だという。
毎年のクリスマス時期には、国民の5人に4人が宝くじを購入するという
のだから、売上高は相当なものだろう。
ギャンブル産業では時価総額でみても世界最大になるという。


さらにマドリードバルセロナといった、大都市の空港を管理する国営空
港運営会社の株式の49%を放出する方針も表明した。
これによって調達した資金を使い、負債の返済などに充てるらしい。
空港だから、過半数(51%)までは渡さないというのは賢明だ。


とにかくスペインにとっては背水の陣ともいえる政策だが、これも一過性
の効果に過ぎないであろう。
隣国ポルトガルの信用不安が一層悪化すれば、すぐにチャラになる。
欧州の格付け会社フィッチは、ギリシャが再編するとなれば、ポルトガル
アイルランド国債も数段階引き下げると言っているのだ。
そうなったら国債による海外からの資金調達は不可能。
スペインも共倒れになる。
つまりスペイン政府の民営化案は、危機の悪化を食い止めるものでなく、
資金調達によって経済危機を遅らせたいという魂胆だろう。



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