英国(イギリス)の米国債売却が進行中 6月は再び円高が加速

予想通りであるが、米国経済指標について冴えない発表が続いている。
6月1日はNY株価が前日比279ドル安で終了、下落幅も約1年ぶりの
大きさだった。


また新規失業保険申請件数についても8ヶ月連続の増加。
そして連邦債務の上限問題でペテン格付会社のムーディーズが、債務
の引き上げができなければ、米国債を格下げする可能性を示唆した。
さらにここへきて、バンカメとシティ、ウェルズ・ファーゴを引き下げる方向
で見直しするとも発表。
決して驚くことでもないが、悪材料が出始めているのは確かだ。


毎年6月は米国の四半期決算である。
過去にもGMが09年6月に破綻したし、クライスラーも破綻処理を済ま
せている。
よって企業決算の弱い指標が出てくるのは当然なのだ。
しかし理由はこれだけではない。
震災によるサプライチェーン問題もあるだろう。
また連邦債務の上限が達したことによって、新規の国債発行がストップ
していることで、金融機関への資金調達が進まない理由もある。


実はもう一つ見逃せない点がある。
これは世界的金融危機が発生する前からのことであるが、英国が毎年
6月に、保有している米国債を売り払っているという事実だ。

これが現在、決定的なカウンターパンチとして効いていると思われる。
英国は中国、日本に次いで世界3位の米国債保有国であるが、2004
年から、しかも6月に大部分の米国債を減らしているのだ。
その後はすぐに買い増ししている。


英国が毎年この時期に米国債を売り払っても、いつもは日本や新興国
どが買い増しし、その分を穴埋めしてきたので問題はなかった。
しかし今年の場合は無事にコトが済むであろうか?
これまでになく懐疑的といわざるを得ない。
FRBによるQE2が終了し、債務上限問題も解決する見通しが立たない。
今月末にはギリシャの支援問題が再度クローズアップされる。
直近では6月15日に、ポルトガル国債償還がやってくる。
悪循環は尽きない。



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