EU・ECB・ドイツなどが、ギリシャに支援し続ける理由

EUとIMFギリシャに対して、第1次支援枠の1100億ユーロのうち、
当面の資金援助として、第5段の支援を決定した。
総額120億ユーロで、全体の3分の2をEUが支援し、残りをIMFが出
すというものだ。
また7月11日までには、民間投資家の負担軽減について会合を開き、
決着を図るという。


ギリシャのユーロ加盟について、そもそもなぜ果たせたのか不思議だ
ということを先日投稿した。
2000年の財政赤字をGDP比2.2%と申告して、翌年の2001年に
加盟した。
しかし3年後、“ 実は4.1%でした ” と修正しにきた。
つまり、本来ならユーロに加盟できなかったのだ。
そして2001年や2002年についても、実は虚偽の申告をしていたと
言い放ったらしい。


本来ならEUはギリシャに対し、罰則を科さなければならない。
少なくとも後から加盟してきたのだから。
しかしそのままユーロ圏に留めておくことにしたという。
今から考えると、何という失態であろう。
ギリシャ自身が白状をした時点で切り離しておけば、今のような問題
には発展しなかったハズだ。


EUのウヤムヤでアヤフヤな態度はこれだけではなかった。
条約には離脱の強制や、自主的な離脱についても規定がサッパリな
かったという。
つまり各国への信頼の上に成り立っているというものだろう。
それが今の 「ユーロ」 という通貨だ。
しかし当時の責任はEUという組織だけではない。
ドイツも少しばかり加担していたという。


EUは性善説だけでは限界があるとみて、ユーロ圏各国の財政状況
を検査することを求めた。
しかしドイツがこれに反対したという。
自分たちの台所事情を他国に知られたくないということだ。
国家主権のへの侵害として反対したというものである。
つまり何の解決策を講じられることなく、ドイツ自身も去年ギリシャ
対し、2兆円を超える資金援助をしたのである。


ギリシャは本当にユーロから切り離されるのだろうか。
ユーロから離脱し、昔のドラクマに戻れば通貨を切り下げして、輸出
競争力が生まれてくるだろう。
隣には世界屈指のユーロ圏市場がある。
貿易によって経済が活性化してくるはずだ。
だが、話はそんなに簡単ではない。


まず誰もが予想することであるが、ドラクマに戻ると、ユーロに対して、
大暴落するだろう。
ギリシャ政府の負債はユーロ建てであることを忘れてはいけない。
仮にドラクマの通貨が半分の価値になれば、政府負債も国債利回り
(利子の支払い)も2倍になる。

今の政府負債はGDP比120%だから、これが240%になる。
国債利回り(10年債)も今は17%だから、これが34%になる。

ナントユーロから離脱したら、ほぼ即死を意味する。


ユーロの離脱は、当該国だけの問題で済むのならいい。
ギリシャが離脱もしくはデフォルトとなると、残りの問題児にも波及す
るから、なかなか容易にはいかないのだろう。
個人的な考えであるが、ギリシャをユーロに留めておくことによって、
どんなに問題が起っても、EUやIMF、そしてドイツやフランス等から
支援を受けられるという見方もできる。 (限界はあるかもしれないが)


それに通貨ユーロは、現在の17ヶ国だけの問題だけではない。
ユーゴスラビアの数カ国でも、自国の通貨同様に使用されている。
USドルがベトナムカンボジアミャンマーラオスなどで日常的に
使われていることと同じだ。
ドルの場合は中南米の小国でも、日常生活に密着している通貨だ。
だからユーロだけでなく、ドルにおいても自分たちだけで済む問題で
はない。



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