円高 偏向報道ばかり なぜ輸出企業の台所事情ばかり注目?

円が対ドルで戦後最高値を更新する勢いで上昇している。
最近の傾向として、オセアニア市場では順調よく円高に向かっているのだ
が、東京市場が開かれると一旦下落する。
その後ロンドン市場に移ると、再び急激な円高に傾いているのだ。
対ユーロについても、去年9月以来の円高水準に近ついてきている。


こういった傾向から判断すると、やはり日本の財務省当局が一定の円売
り・ドル買いを仕掛けている可能性が高いということ。
急激な円高は企業の準備期間に間に合わず、一時的にも輸出企業の採
算性を悪化させるということが大きな理由だ。
また上場している日本企業の株も、全体の7割が外国人投資家によって
保有されていることから、ディトレーダーによるマネーゲームの対象になり
やすい。


また円高は自動車や家電といった、大衆製品を作る企業の収益に響くが、
国としても見過ごせない点がある。
それは価格低下によるもの以外に、国に入ってくる税金も少なくなるから
である。
またこういった大衆製品を作る企業の海外移転問題も大きい。
従業員も積極的に海外に赴任することなんて、簡単にはいかない。
地元や家族から離れるのは気が重い。


しかし円高は輸出企業にとってもメリットはある。
なに分、資源や原材料価格が安くなるからだ。
とにかく全てにおいて相殺できるかどうかまでは知らないが、円高という
だけで悪役として扱われるのは偏見も甚だしい。
そもそも自国の通貨が高くなると、どこの国だって同じことなのだ。
日本だけが例外と思っているのだろうか?


とにかく日本はGDP比でも、輸出の割合が低い国(16%)で有名。
主要国全体でみても、米国、ブラジルに次ぐ低さである。
しかもアジア向けは全体の5割を円建てで輸出。
米国向けはまだ15%程度。

基本的に円建てという武器を使っているのは、最先端企業だろう。
こういった確固たる指標や資料があるにもかかわらず、円高の不安ばか
り強調しているのはナゼか?
しかも円高で得をする輸入企業のことは全く報道しない。


ここはやはり、長年における政治的な考え方が色濃く残っている。
円高を批判する経団連の役員をみても、ほとんど輸出企業のOB達など
が顔を連ねているのだ。
これが円高が悪であるという内容を代弁していると思われる。
いうまでもなく、経団連は戦後からずっと自民党献金してきた団体で
ある。
民主党政権になっても同政党に献金しているが、今の菅政権は外交的
にも自民党と似ているから、一向に正しい考え方に向かない。
経団連の人も一部、円高メリットのことを話しているのかも知れないが、
インタビューをしたマスコミ各社が、意図的に報道させないことも十分考
えられる。


メディアによる偏向報道はホトホト困ったものである。
震災後は輸出が一時的に不能に陥り、貿易収支が赤字になって騒いで
いたが、これは日本の競争力が衰えたわけではない。
資源高という要素も直撃してしまったからである。
そういった買い物単価が高ければ、円高のほうが良いに決まっているだ
ろう。
電気やガス、商社といった会社は円高でウハウハ気分に違いない。
こういった会社で働く従業員については、全く意見を聞こうとしない。


また日本は世界最大の債権大国であることから、他国に莫大なマネー
を貸している。
米国債などがそうだが、ドルベースで購入しているため、確かに円高
なれば額面がその分目減りする。
しかしそういったリスクについては全く報道しようとしない。
あくまでも貿易における輸出についてだけ。
海外に移転しても特許収支は毎年増加し、莫大に入ってきている。
ちなみにここ数年は、貿易収支より特許収支のほうが多いのである。
こういった真実についても報道しようとしない。


円高国内需要が伸びるチャンスである。
過去においても、円高後は必ずバブルなどが襲ってきたが、そういった
行きすぎた投機について抑制していけば、大丈夫であろう。
円高後の日本はいつも 「神風」 が吹いてきているのだ。



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